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第37話

「いいですか、先に降参した方が負けです。命までは取りませんけど、ケガの一つや二つは覚悟してくださいね」

「それはお互い様だな」


俺とグレイスは小高い丘で向かい合っている。

ユーリの合図で勝負開始だ。


こういう決闘みたいなことは初めてだな。

なにせ日本には決闘罪があったから。


なかなか楽しみだ。

正々堂々やってやろうじゃないか。


「それじゃ、はじ……」

「目ビーム!」


先手必勝。戦いの基本だ。

ゴーレムがどんなもんか知らんが、出す前に終わらせれば関係ない。。


もくもくと煙に包まれるグレイス。

やったかっ!?


「あ、危なかった……!!」


やってなかった。

グレイスは土でできた鎧のようなものに身を包んでいる。

なかなかやるじゃないか。


しかし目ビーム一発で鎧はすでにボロボロ。

カミラほどの硬さはないな。


「面白いな、その鎧もゴーレムなのか?」

「ふふ、すごいでしょう。 世界広しといえど、ゴーレ……」

「目ビーム! 目ビーム! 目ビーム! 目ビーム!」


なんか説明してくれそうだったけどまあいいや。

勝負の途中だし。


すごい量の煙。

今度こそやっただろ。


「尋ねられたから答えたのに!! ひどいです!」


やってなかった。

グレイスの前に半壊したゴーレムが何体か転がっている。

あれで防いだのか。


「今度はこっちから行きますよ! 『カモンゴーレム』!」

「Search and destroy......」


地面から次々と土でできた人形が現れ、グレイスを守るかのように陣形を形成する。


その人形はごつごつとした手足と、どんな大男も目じゃない巨躯を持っている。

凝縮された土は確かな硬度と重量を物語り、無機質に赤く光る眼はどんな恐れも感じぬ無慈悲な存在であることを意味している。


うわー、なんて強そうなんだー。


「さあ、やっておしまいお前たち!」


ゴーレムたちが接近してくる。

おお、見た目よりも素早いな。


しかも意外というか、連携して俺を包囲するように計画的に動いている。

グレイスが操作してるんだろうか?


ま、俺にとっちゃ関係ないけどね。


「おらぁ!!」


殴られたゴーレムが面白いように砕ける。

ついでにその爆発で隣にいたゴーレムが半壊する。


背後に回り込んだゴーレムが俺を殴るが、まるで痛くない。


「ほらほらどうした? どんどんゴーレムの数が減っていくぞ?」

「くっ!? でもそんな大技を連発してたらすぐ息切れが来ますよ!」


大技でも何でもないんだなこれが。


グレイスはゴーレムを追加で何度も召喚。

しかし他の魔法を使う様子はない。


こりゃあ楽勝ですわ。

このままじわじわ追い詰めて本体を叩けばいい。


このゴーレム、一体一体がそこらの魔物よりかなり強そうだし数も多い。

こいつが凄腕のゴーレム使いってのは本当なんだろう。

けど相手が悪かったな。


いやー楽しいな。

おそらく強者だと思われる相手を力で蹂躙するのはほんとに楽しい。

それが何の努力もせず手に入れたチートの力ならなおさら。


俺が異世界で一番幸せを感じる瞬間だな。


「こ、こうなったら奥の手です!!」


そう言ってグレイスはひと際大きなゴーレムを召喚した。

先ほどまでのやつらも十分でかかったが、その3倍はある。


しかも腕や足が鋼鉄のような金属に覆われ、トゲが生えている。

すごい強そう。


これ金属の部分はどうやったんだろう?

ゴーレムって土から作ってると思ったけど違うのかな?


「こいつはただのゴーレムとは比較になりませんよ!」


グレイスのセリフと共にゴーレムのパンチが俺にクリーンヒット。


なるほど、普通のゴーレムよりかなり硬い。

でも悲しいかな、俺にとってはポテチと堅あげポテトぐらいの違いでしかない。


「せいや!」


なんか強そうなゴーレム粉砕。

さて、そろそろグレイスも降参する気になったんじゃないか?


……?

グレイスがいない。


あれ? どこ行った?

隠れて不意打ちのつもりか?


だが待てども待てども攻撃は来ない。


どういうことだ?

逃げたのか? 勝負中に?

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