第3話
街道を目指し移動中である。
移動中に少し検証を行った。
まず、普通に歩く分には爆発は発生しない。
早歩きも大丈夫だが、油断すると突風が吹き荒れることがある。
小走りになるともうだめだ。
小規模ながらも連続して爆発が発生し、地面が少しえぐれる。
全力疾走は……試さないほうがいいだろう。
手を勢いよく動かすと魔法攻撃のような現象が起こる。
動かす速さで威力の調節ができないか試したが、あまり期待しないほうがよさそうだ。
そもそもどの魔法が出るか分からないし、単純に速く動かしたから威力が上がる、というわけではないらしい。
方向の調整もほとんどできない。
発声するだけでも魔法が放たれることがあるようだ。
日常会話くらいの音量なら何も起こらない、しかし呼びかけるくらいの音量だと時折魔法が出る。
これも音量で威力が調整できないか試したが、やはり期待はできない。
以上のことから、爆発のしまくりで日常生活すらおくれない、というようなことはなさそうだ。
ただ完全に安心はできない。
検証中、すでに三度意図しない爆発を起こしている。
一度目はつまずいてよろけた時、二度目は何気なく頭を掻いたとき、三度目は景色を確認しようとふと振り向いた時だ。
ここが何もない更地でよかった。
とにかく何も考えずに行動すると爆発しかねない。
今こうして移動している最中も、爆発しないよう細心の注意を払い、一歩一歩踏みしめて歩いている。
そのせいか街道がかなり遠く感じる。
周りに何もないから余計にだ。
全く、異世界なんだからもう少し何かあってもいいだろうに、こう更地ばかりではな。
やっと街道にたどり着いた。
ここまでの爆発回数はステータスオープンと検証中のを除けばたったの4回。
悪くないのではないだろうか?
この調子でいけばすんなり異世界に馴染めるかもしれない。
いきなり爆発したときはどうなるかと思ったが、なかなかに希望が出てきた。
そう思っていると、街道の奥から走ってくる馬車が見えた。第一村人…いや第一異世界人発見というわけだ。幸先がいいな。
俺は爆発しないよう慎重に馬車に右手を振った。