第26話
「いってぇぇえええ!!」
牢獄の中で声が響く。
俺の……ではなく噛みついてきた女性の。
「かってえな! どうなってんだお前の体!!」
涙目になっている。
わかるよ、柔らかいと思って噛んだものが硬かったら痛いよな。
「あんた、魔族……吸血鬼ってやつか?」
「いかにも、あたしは誇り高き吸血鬼、“鮮血”のカミラさ。だがそれを知ってどうする? 今のお前がな!!」
カミラは鋭い爪で切り付けてきた。
これも俺にはノーダメージ。
チートで防御力も上がってて良かったー。
「……なるほど、硬さには自信があるようだ。だが、はたしていつまで持つかな。封じの枷のせいで満足に動けないだろう? 今からお前は、私に一方的になぶられ続け……」
封じの枷ってこれか?
とりあえず引き千切っておこう。
「は?」
カミラがきょとんとしている。
自信満々に攻撃しに来たのは抵抗されない確信があったからなのだろう。
さて、なんで魔族がこんなところにいるんだ?
しかもかなり上の立場に見える。
どうもきな臭くなってきたな。
状況はさっぱり分からんが、こいつをふん縛れば色々聞き出せるだろう。
俺は爆炎と共に右ストレートをカミラに放った。
……片手で防がれた。
は? おいおい嘘だろ?
チートの拳だぞ?
それをこんな涼しい顔で受け止めるなんて……。
「いってええええ!! お前何者だあ!!」
涼しい顔ではなかったな。
受け止めた手が真っ赤になっている。
いやしかし、それで済むのはおかしい。
結構強めに攻撃したぞ?
カミラが再び切り付けてきた。
俺も拳で応酬する。
激しい攻防、そして爆発。
この魔族、でたらめに強くないか?
何で俺と肉弾戦できんだよ。
「でええええい!! やってられっか!」
カミラが蝙蝠の翼を生やし、壁に空いた穴から空へと逃げた。
「待ちやがれ! くらえ目ビーム!!」
すかさず目ビームを放つ。
だが全然効いていないようだ。
「なんだ? 遠距離は苦手か? 拳に比べりゃあ屁みたいな威力だな」
くそ、確かに目ビームは威力が低めだ(当社比)。
距離を取られると有効打がない。
「さて、ならこっちから行かせてもらおうか。『ファイアブラスト』!!」
カミラが魔法を放つ。
大丈夫、ノーダメだ。
「『ウインドブレード』!! 『マジックミサイル』!!」
無駄だ。
腐ってもチート、俺の防御力はやばいのだ。
さっきから奴の攻撃は一度も俺に聞いていない。
こちらから攻撃できなくても、向こうの攻撃が効かないのだからいずれ俺が勝つ。
魔族の強さにビビりはしたが結局は楽勝だ。
「『パラライズ』!!」
あっぶね!! ちょ、状態異常は卑怯だろ!!
当たったらどうすんだ!
「ほう、状態異常だけ露骨に躱したなあ」
カミラがニヤリと笑う。
あかん。
「『パラライズ』!! 『ポイズン』!! 『スリープ』!!」
ちょ、無理、助けて、やばいやばい!!