079 自警団詰所利用は認めない
おや?遺跡の中が明るいな…
はじめはオネーサマが丘ごと土を取り除いてくれたから、
外の光が入るようになったのかと思ったが、
どうやら、天井自体が発光しているようだ。
【神眼】してみたらLEDパネルだった。
巣窟都市のテンプレを利用したポータル改造を行ったため、
余計なものがついてしまった…
俺はポータルのがらんどう空間を3階層に分けて床を設置し、
1階層目に自警団詰所とボス部屋入り口を設置し、
2階層目と3階層目は空っぽのままでは不自然なので、
古代で住宅利用されていたようなつくりにしておいた。
ただし、新品で出土したら不自然なので、古い遺跡風のデザインを意識し、
所々に崩れた感じの瓦礫を転がしてある。
そこまでしたのに、絶賛発光中のLEDパネルとか、不自然極まりない…
よし、気付かなかったことにしよう!
内部に見るものがないのは知っているが、一応初めてのていで見て回る。
「ってオネーサマ、そこはボス部屋…」
うっかりオネーサマから目を離してたら、勝手にボス部屋まで行っちゃってたよ…
オネーサマに気付くのとボス部屋の扉が閉じたのは、ほぼ同時だった。
やばいな…ボス部屋機能してるんだよな…
ボスの『シャドウ・ミラー』も配置しちゃってるし…
扉はボスを討伐するか、敗北して排除されるかでないと開かない。
慌てて扉に駆け寄ろうとしたものの
ボス部屋の中から
「いやぁああん!」という乙女の悲鳴と「ぱぁん!」という乾いた破裂音が
辺りに鳴り響いた。
何事かと、そーっと【俯瞰】してみたら
仁王立ちのオネーサマと土下座でひれ伏すエネミーの姿がちらりと見えた。
なんとなくエネミーのほっぺに真っ赤な手形があるような…
俺は何も見なかったことにして、その記憶を俺の頭から永久追放した。
ポータルのエントランスで待っていたら、オネーサマが
「雑魚部屋以外なにもないわねぇ」
とか言いながら何事もなかったかのように戻ってきた。
おかしいな…雑魚部屋なんて設置してないよ?
“M-IRA”がぶっ壊されたショックで、俺もぶっ壊れて、スーパーローテンションの
酔っぱらいに転職する勢いでやけになって設備を適当にいじったから、
きっとボスエネミーと間違えて、マスコットのつもりで生成した、
“青くて水滴型のぷるぷるするアイツ”
でも設置しちゃったんだな…
後で修正しておこう。
「ここ詰所に使っていいか?」
周囲をキョロキョロと見回しているオネーサマに問いかけてみるが、
返ってきたのは意外にも「ダメよ」という答えだった。
やはり遺跡は街の財産だもんな…と落ち込みかけたが、
オネーサマの言葉は終わっていなかった。
「詰所にするなんてダメよ…正式にギルドを設置するべきだわ」
ああ、なるほど。俺は自警団のみに気を取られていたが
本来の仕事を考えるとここがギルドとして機能して
ダンジョン管理した方がいいよな…
マズいな…おれの思考が自警団長と同じになってきた…
ところでオネーサマは何をそんなにキョロキョロと見回しているんだろう?
「この遺跡…巣窟都市のポータルじゃないかしら?」
「さすがオネーサマ。古代文明にもお詳しい」
(どうせ分かってて言ってるんだろうけど、マナト、そういう事じゃないよ…)
アニーよ。それが分かっているなら何も言うな考えるな。
ツッコんだら負けだ。スルー一択だ!
「おねーさんが可憐な幼女だった時に遊んだことがあるのよぉ」
えーと…スルーしきれなかった…
オネーサマ、巣窟都市を遊んだことがあるとか、貴女はおいくつなのですか…
なんて質問をする勇気はもちろん無い。
そして白猫さん白猫さん。そのジト目、やめてもらえたらうれしいな。
さて…オネーサマが巣窟都市を遊んだこととオネーサマの可憐な幼女
どっちからツッコもうかな…
―さすが炉利マナト。幼女にナニをツッコむやら―
“すぱーーーん!すぱーーーん!!すぱぱーーーん!!!”
俺は誤解を生む発言をしたネコをハリセンでしばきたおした。
おいこらそこのネコ、言葉に気を付けろ!
そこだけ読んだらとんでもないからマジやめろ!
ツッコむってのは追求するって意味だからな?
ツッコむってのは追求するって意味だからな?
大切なことなので2度言いました!
そもそも炉利じゃないと何度言えば!
俺はもう一度、ネコをハリセンでしばきたおした。
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※安全に配慮し、例えミラが全力で赤ん坊をしばいても無傷で済む、
特別なハリセンを使用しています。
※ネコを一般的なハリセンでしばく行為は常識で禁止されています。
マナトの非常識な行動は、絶対にマネしないでください。
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