074 巣窟都市操作マニュアル
どうやら発掘した地表の遺跡は、
チュートリアルの最初に生成される建物で、
これを“ポータル”として管制部や生成されるダンジョンに、
ワープ可能に設定するようだ。
ただし、現在はポータルのワープ機構は機能していない。
ちなみに『攻略本』には、
『迷宮内に合わせた造りの小さな専用ポータルを何個も作るのがおススメ』
とある。
『生成した迷宮の数と形に合わせたポータルを用意することで、
それっぽい迷宮がいくつもあるように見えて雰囲気が出る。』
とのことで、実践してみたいところだが、
この街の周囲にダンジョンがないと認識されている以上、
新たにダンジョン入口を何個も生成するわけにはいかない。
今回発掘した遺跡を、今後生成する全てのダンジョンの入口にするしかないか…
…いや、新しいポータルを【認識操作】で古くからあることにしたり、
森の中辺りで新発見とか、浅い場所に埋めて掘ってもいいか…
ポータルを介するのは、土地内のどこにダンジョンをいくつ生成しても
全てのダンジョンに、ポータルから出入り可能と言うだけの話で、
ダンジョンの生成場所を地表面の一か所に集中させて、内部を露出させることで
ポータルを介さずに直接出入りすることも、もちろん可能だ。
その場合、地表面のごく一部の狭い範囲の土地しか利用できないが。
もっとも、土地全体を利用するほどの数や広さのダンジョンを生成するのか?
と言われると、多分やらない。
巣窟都市の完全版は、管制部の他に“中枢部”というユニットが存在するようだ。
中枢部には、魔物や宝箱アイテム等のダンジョン内に設置するもの全ての
生成プラントや施設全体の自動メンテナンスを行うための設備、
さらには、施設全体の動力までもがある。
どうやら管制部のワープパネルのない扉の向こう側に中枢部があるようだ。
中枢部にはナノマシン生成機能があるため、
ナノマシンの付与された、専用の土地購入者には中枢部がオマケで配布されるが、
ナノマシンが付与されていない、自前の土地を用意したユーザーは、
結構な金額で中枢部を購入させられることになるらしい。
それこそ専用の土地を購入するのと大差ない額ということで、
その値段設定にも、巣窟都市運営の金の稼ぎ方が透けて見える気がする。
俺的には、土地があろうがあるまいが関係なしに、
『それ程高価ではない中枢部を、土地並の価格と偽ってぼったくり販売している』
と思えてならない。
中枢部が機能している限り、管制部のメンテナンスも自動で行われる。
例えばスパコンに故障が発生しても、
修理部品を生成しワープ機能で部品交換を行うようだ。
ワープ機能自体もはや魔法だな…
こんど暇なときにでも、ワープ機能を【神眼】で解析して
【完コピ】と【創成】を組み合わせれば〔瞬間移動〕とか創れるかもしれない。
何で今やらないかって?
【神眼】が『タキオンバーストによる時空間歪曲現象を基礎理論として…』
とか言い出したので、
俺が「日本語でおk」ってツッコんだら拗ねて黙りこんだからだ。
その話は置いといて、中枢部の話に戻ろう。
中枢部自体は管制部と同時期に設置された古代の設備だ。
当然機能していない。
管制部の《完コピ》時の暇つぶしが幸いして、
中枢部の機械の《完コピ》品が〔物置〕にある。
今すぐ総とっかえしてしまおう。
総とっかえ時に調べてみたが、各種生成用素材に関しては
充分な量が残っているようだ。
だが、古代の素材なんか使ってどんな事故が起きるかわかったもんじゃない。
【俯瞰】と《完コピ》…もう『俯かんコピ』と呼ぼう…
『俯かんコピ』で素材を入れ替えよう。
中枢部を《完コピ》品と総とっかえし終わると同時に、
ようやく管制部に明かりが灯った。
って眩しっ!
あ~あ~目がぁ~目がぁ~!!
〔非常灯〕に慣れてしまったところに《暗視》まで使ってて明かりが灯れば、
そりゃ眩しいよな…
ミラにスイッチを探してもらい、とりあえず明かりを消した。
《暗視》と〔非常灯〕の行使をやめれば済む話だが、
こっちの方が雰囲気が出る。
よし、準備完了。
さあ、5歳児の途中放棄のチュートリアルをはじめよう。
マナト:ところで電話帳ではダンジョンの事を、迷路や迷宮と呼ぶのな。
アニー:分類としては洞窟型を迷路、遺跡型を迷宮としてるけど、
プレイヤーはどっちも“迷宮”って呼んでたね。
マナト:俺はもう最初から呼び続けてるダンジョンでいいか…
アニー:それでいいんじゃん?どうせみんな「どうでもいい」って言うし。
マナト:…




