784裏 オーナー殿は夢の中
やあやあ!ごきげんよう皆の衆!
今回の視点役は……このワシじゃよ!
ところでワシは最近夢見が悪いせいか
なんだか話の流れが見えんくなってなぁ……
と言うワケで今回は一度話を整理するために……
ワシが今みている
とても不思議な夢の話をしようではないか!
さてワシは今……
自宅の寝室でグッスリ眠っているハズなのじゃが
気付けば何故か学長室に居る!
これは夢か現か幻か!
……いやまぁ……十中八九、夢に違いないのじゃが――
――何?
『ところがどっこい、これは全て現なんだぜ!』……とな?
はっはっは! そんなハズはなかろうが!
生憎だがワシは信じんぞ?
何故なら……
繰り返しになるが
今、自宅の寝室に居るはずのワシは
気付けば何故か学長室に居るという……
もしこれが夢でないならば
ワシが眠っている間に
『瞬間移動』でもさせたことになるのじゃが……
まぁそんな『瞬間移動』などあり得ない!
何故なら実はこの世界には……
『瞬間移動』を可能とする魔法や魔道具は存在せんのだ!
何?……
『ワープドアがあるじゃないですかーやだー!』
……とな?
……あ、ホンマや~!!
あ、いや……確かに『ワープドア』は
『瞬間移動』を可能とする魔道具じゃが
これを設置するには《らび・らいふ》が必要で
その《らび・らいふ》は世界にただ一つ――
――誰が何と言おうと世界に一つしかない!
そしてワシはその『世界に一つ』の持ち主じゃが
しかしワシは学長室へのワープドアなど設置しておらん!
故にこの世界には……
ワシの知らぬ間に
『ワシを学長室に瞬間移動させる』ような魔道具は存在せんのだ!
だからワシが今……
『気付けば何故かココに居る状況』というのは……
『夢の中だから!』以外の何物でもないのじゃ!
それにココには何故かケンオーが……
それも何十年も前の若い姿のままのケンオーがいるという
まさに夢のような状況なのじゃが……
何故かそのケンオーは
一人称が『吾輩』とか
その口調はまるで『サイコさん』……
それにそんな『サイコさんなケンオー』のことを
学長が『お父様』などと呼ぶという不思議な状況で
これではまるで
『サイコさんがケンオーの姿でやってきた!』
みたいになってるではないか!?
だとすると彼の呼び名は
『サイケンオー』か『サイコーさん』か……
……いや、それはどうでもいい!
とにかくそんなワケの分らぬ不思議な状況は
『やっぱり夢の中!』以外にありえんじゃろう?
よってこれは全て『ワシの夢』なのじゃ!




