067 新米教師ミラ先生が教えるダンジョン管理学 3時限目
「これが…自動維持管理用核?」
思ってたのと違う…
それが俺の第一印象だ。
映し出されたのは、どう見てもスパコンとコンソールとディスプレイだな…
俺の思ってたダンジョンコアとは程遠い。
確かに、剣と魔法のファンタジー世界の過去には超科学文明が!
ってのもテンプレだけどさ…
俺的には、こう…魔力をまとった水晶球みたいなのを想像してたんだよ。
「魔力型の核ならマナト君の想像通りです。これは遺跡型の核ですね」
映像を観ながら先生が教えてくれた。
え?核って色々あるの?
一口に核と言っても、二種類あるようだ。
俺が想像していたのは魔力型といって、
俺の想像通りの、魔力を放出する水晶球のようなイメージのもので、
古くからあるダンジョンには、高確率で存在するらしい。
この魔力型はダンジョン内の専用の台座に設置されており、
まず台座が、周囲に存在する自然の魔力を集め、
核が台座から魔力供給を受けることで機能しているようだ。
核自体は、専用の台座さえあれば、どのような場所にも移設可能となっている。
なお、かなりの労力を必要とするが台座の移設も一応可能だ。
ボロアパートの3階の一番奥にある、4畳一間バストイレキッチン無しの部屋に、
業務用大型冷蔵庫を、人力のみで設置するような労力が必要になるが…。
2時限目に出てきた、核のレンタルや販売を行うギルドが作れるのは、
魔力型の核と台座のようだ。
人工の台座なら、現地で組み立てるから移設は天然の台座よりも容易なようだ。
一方、遺跡型というのは、【俯瞰】映像にあるようなスパコンで、
一部のダンジョンとは呼べないような狭い遺跡に、ごくまれに存在するらしい。
こちらは設置されている遺跡から直接魔力供給を受けて機能するが
現存する遺跡では例外なく魔力供給が途絶えており、核移設も不可能らしい。
当然古代文明の産物で現代にこれを作る技術は遺っていない。
つまるところ、機能する遺跡型の核は現代には存在しないという事だ。
ダンジョンと呼べるような広い遺跡には、魔力型の核が存在するとの事だが、
魔力型では遺跡内の扉にある複雑な鍵の施錠や、機械式の罠の再設置には、
対応していないらしい。
このことから考古学者は、
『魔力型の核が遺跡を個別に管理し、魔力型で対応していない部分を、
遺跡型の核が、ある程度の範囲を一括管理していた』
と考えている。
というか…この世界の古代文明ってやっぱりテンプレ通りなんじゃ…
「マナト君はよく勉強してますね」
先生が肯定しながら、俺の頭をなでてくれた。
このノリにも充分慣れてきたようだ。
つまるところ、この世界は過去が超科学文明タイプの世界だという事か…
そうなると遺跡の魔力供給というのも電気の可能性があるな…
生活魔法の〔非常灯〕も停電対策とか言っちゃってるし…
魔力型の場合はどうなんだろう?
台座が充電器になってる可能性が高いが、現在も機能してるとなると、
ちょっと想像ができないな…
台座自体が発電してるのか、周囲の静電気でも集めてるのか…
人工核が天然核に劣るのは電気の吸収力の問題か、電気効率が悪いのか…
実際に見てみないとわからないが、きっと見てもわからないだろうな…
もしかすると、実はこの世界って元の世界の直接の未来だったりとかしてな…
そう考えると【俯瞰】で元の世界の情報も映像化できることに説明がつく。
先生なら何か知ってるかな…
「主任や校長ならご存知かもしれませんが、先生は歴史の教師じゃないので…」
先生が申し訳なさそうに目を伏せる、まぁ気にする必要はない。
というか主任や校長を引っ張り出してくるとは、先生の順応力侮れない…
ぶっちゃけ古代文明のことは、今はどうでもいい。
重要なのは、目の前の核をどうすれば、機能するようにできるか?である。
【俯瞰】でただ観ているだけじゃ何もはじまらないな…
俺たちは意を決して転移門で実際に現場に行き、実物を見てみることにした。




