680 看過できない矛盾
※前回までの女神末
――画して『グランマ』の目論見どおり
『当時のマスター』は引責辞任となり
『フシアナ』は『稀代の核技師』として
見事『後任マスター』に迎え入れられることとなりましたとさ
めでたしめでたし!
「……いや、ちょっと待て。
オーナー殿のその話には……
到底看過できない矛盾がある!」
「なん……だと?!」
「オーナー殿は先ほどこう言った……
【辞任した『前任マスター』というのは
実はなんの権限も持たない
『マスターのフリをしていただけの人物』である】
……と!
であれば『前任マスター』には
そもそも
【『迷宮核』の着服】を『グランマ』に指示する】
権限もないワケで……
つまりは『前任マスター』は
『そんな指示はしていない』と否定こそすれど
決して『指示が理由の引責辞任』なんて……しないんじゃね?」
っていうか
そもそも『グランマ』は
【誰かの指示で『迷宮核』を着服】とか……
そんな犯罪行為に手を染めるような奴じゃねーから!
まったく……どこのどいつだよ!
最初に
【『グランマ』が『迷宮核』を着服した】
などという根も葉もないコト――
――いや。
確かに
【『コア・リボーン職員』による『迷宮核』の着服】
自体はあったけども!
でもそれやったの『グランマ』じゃねーから!
……と、とにかくどこのどいつだよ!
『根は一応あるけど葉は一枚もないコト』
を『ギョーカイの噂話』に仕立て上げたのは!
「まぁ『ギョーカイの噂話』の真偽はさておき……
なぁマナト殿?
その【看過できない矛盾】とやらは……
案外簡単に説明できるのだが?」
なん……だと?!
「というのも……
先ほどワシは、こうも言ったぞ?
【『コア・リボーン』には
『前任マスター』とは別に『真のマスター』も居る】
とな?
つまり『前任マスター』は……
【『マスターによる『迷宮核』の着服指示』
『その指示に対するマスターの引責辞任』】
……と聞いて
それらが【『グランマ』の目論見】とはつゆ知らず
『全て【『真のマスター』の目論見】だ』
と勘違いしてしまった……
だから『前任マスター』は
『素直にマスターを辞任した』というワケだ!」
な……なるほど!
確かにその説明なら矛盾はないな……
娘さん:ところで
『『グランマ』は誰かの指示で
『迷宮核』を着服とか犯罪行為に手を染める奴じゃない』
の部分に到底看過できない矛盾が……
ジーク:いやでも確かに『グランマ』は
『誰かの指示』では犯罪とかしないッスよ?
娘さん:あ、そうですね!
『グランマ』の犯罪行為は『全部自分の意志』ですもんね!
マナト:……お前ら……




