057 オッサンの成就
「ところであんちゃん、この街には稀代の生活魔導士が隠れ住んでいてな…」
前回の終わり方から唐突に話の方向が変わったよ…
一話飛ばしたかと思ったよ!
「いきなりだな!しかもここで雑貨屋のおっちゃん登場かよ!」
「なんだ、あんちゃん知ってたのか」
なんとなく話のオチもわかっちゃったよ…
オネーサマの固有魔法にハイパーアンチエイジングって若返りの生活魔法が
あったっけな…
おそらく、奥さんはオネーサマに若返りの魔法を教わったんだろう。
「女房は…女性の若返りと美を追求する『美の魔導士』ってやつで、
生活魔導士の師匠にあたるんだ」
なんか元の世界にも居たな…そんな美の魔女。
そう言えば、オネーサマも永遠の20歳自称してたが称号か何かなのだろうか?
そんなことより、ちょっとまて!あのオネーサマの師匠…だと…?
オネーサマが弟子になるとか想像できない…
そっちの方も詳しく聞きたいんだが!
「で、話を戻すけどよ…」
聞かせてもらえなかった…
「…戻すけどよ、アイツは若返りの魔法の秘密を教えてくれたあと…言ったんだ。
『ボクが思っている以上におねえさんはおばあちゃんなのよ』ってな」
…ボクとか…当時オッサン31歳だったよな?
おねえさんにとっては、いつまでも“5歳のボク”にしか思えなかったのかな?
「それで?」
「おう、それよ。今のあんちゃんと同じセリフを言った…『それで?』ってな。
『おばあちゃん、それがどうした?』ってな」
いいぞいいぞ胸が熱くなってきた!
「そしたらアイツ涙流してな…ついにオレの気持ちを受け入れてくれたんだよ」
おお!やったぞオッサン!
その時奥さんは「もう待たなくていい」そう言ったらしい。
オッサン30年近く気持ち変わらなかったんだもんな…ほだされるよなぁ…
オッサンが成就したところで、そろそろ最大の謎を解き明かしたいな…
「ところで、奥さんの後ろには何匹鯖が泳いでた?」
「鯖読みってことか?…100匹までは数えていたらしいが…」
なるほど…この時点で最低でも144歳か…
そりゃ31のオッサンも5歳のボクも同じようなもんか…
娘さんの母親の生活技能《家事全般》がやけに高いのも納得できるな…。
ところで永遠の18歳ってくらいだから、18歳保ってるのか?
でもハイパーアンチエイジングって老化を遅くするで止めるじゃないんだよな…
あ、でも元の世界の美の魔女たちも、魔法なしで若返りを果たしてるくらいだ。
魔法アリのこの世界の美の魔導士なら、若さ保つのも不可能じゃないか…
「で、そのまま直ぐに結婚してアイツはギルドの受付嬢になった」
「オッサンの後ろにも鯖泳いでるのか?」
「あぁ、結婚して試しに飼い始めてそれ程多くはないが、泳いでいたなぁ」
って、ん?いた?過去形?
「アイツが逝ってすぐに飼うのをやめたからな」
「魔法で若さを保ってた奥さんに、なんで寿命が来たんだ?」
「実は女が若返りの魔法使ってると子供ができねぇんだよ…
胎児も魔法に巻き込まれて若返っちまうとかでな」
なるほど、子供が欲しくなって魔法を解いたというところか…
だが魔法を解いたところで一気に老化するわけでもあるまい?
「娘が生まれてすぐにアイツは魔法をかけなおしたんだが、失敗しちまってな…
それまで飼ってた鯖が一気に襲い掛かってきた」
「魔法失敗の反動で、遅らせた分一気に老化して天寿全うか…」
「そういうこった。…娘が10歳のころだ」
なるほどな…若返り魔法のリスク怖いな…
そして美の魔導士も母性には抗えなかったか…
「オッサンはなんで鯖飼うのやめたんだ?」
「さっさと寿命迎えてアイツのところに逝くためだ」
なるほどな…オッサン悲しいまでに一途だな…漢だな!




