055 オッサンの奥さん
「お父さん…そういう話は本人通してからしてほしいんだけど…」
不穏な会話を聞きつけて、娘さんが会話に入ってきた。
オッサン、ジークはおろか娘さんにも確認取ってないんかい!
そのわりには、娘さんも特に気にしてなさそうだな…
ふと、娘さんに視線を向けたら、娘さんがお出かけスタイルだ。
どっか行くのかな?
「ちょっと雑貨屋さんとお母さんのところに行ってくるね」
「あいよ」
そう言って娘さんは出かけて行った。
雑貨屋さんとお母さんが一緒に居て、そこに合流かな?
それとも、ちょっと雑貨屋さんに寄ってから、お母さんのところかな?
どっちでもいいか…
娘さんのお母さん…つーかオッサンの奥さんってまだ未登場だったな…
そういや、美の魔導士って新単語も気になるし…
よし、オッサンに訊いてみるか。
「あんちゃんつまらんことに興味持ったな…」
オッサンが、ばつが悪そうな顔で俺に言葉を投げ返してきた。
いや…つまらないことはないだろう。純粋に気になるぞ。
「てか、お母さんのところ行くって、別居でもしてるのか?」
「まぁ別居と言えば別居か…墓参りの事だよ」
ちょ!…お母上はお隠れあそばされなさいましたのですか…
ちょっと動揺してミラの口調真似たけど全然ダメだった…
っていうか、この街墓地あったんだな…
ギルドと雑貨屋と別宅しかないと思ってた!
いやいや、そういう話じゃない。
うん、そうか!「ちょっと雑貨屋さんとお母さんのところ」というのは
「雑貨屋さんとお母さん」のふたりの墓に行くのか!
…やめよう。オネーサマに怒られる。
ちょっとどころか、わりと動揺してるな…俺…
どうでもいいことばかり真剣に考えちまった。
でもよ?娘さんやオッサンの年齢考えてもまだまだこれからって歳だろ?
…病気か事故か…いずれにしても、
「すまん、オッサン悪いことを聞いた」
興味半分で聞いていい話じゃなかったな…
と思ったけど、オッサンがそれを否定する。
「いや、そんな気にすることじゃねぇよ…勘違いするなよ。寿命だからな?」
おいオッサン、寿命とかマジで奥さんいくつだよ!!!!!!!!!!!!!
逆に興味津々だよ!
燃料投下すんな!
ホントはむしろ聞いてほしいのかよ!
俺は絶対にオッサンの口を割らせると決意した。




