閑話 もしも仮に万が一
※前回までの女神末
『埋蔵金は孤児院中庭のオーナー殿にしか解けない封印の先にある』
オーナー殿は、そうボーケンオーに教えていたというワケだ。
ところで、オーナー殿はこう言ったんだ……
『せがれは
【マナト殿が『けしからん連中』だ】
……などと言っているが
マナト殿が『それは誤解だ』と言うのなら
せがれとともに孤児院に行き
【侵入の痕跡はない】ことを示せば
その誤解も簡単に訂正できるのではないか?』
……てな。
もちろん俺はそんな愚案はソッコー却下するのだが。
「そりゃだって
アニキが孤児院に侵入したのは誤解じゃないッスからね……」
「いや、そうだけど却下した理由はそこじゃなくて……」
だって俺は孤児院への侵入には『転移門』を使ったから
【侵入の痕跡】なんて残してないワケで……
当然【侵入の痕跡はない】ことくらいヨユーで示せるんだからな!
「じゃあなんで却下したんスか?」
それはだって……
もしも俺以外の誰かが孤児院に侵入してたりしたらどうすんだ?
フツーに俺が侵入したことにされるじゃねーか!
……だから却下したんだよ!
そしたらオーナー殿はこう言ったんだ……
『もしもマナト殿以外の誰かが孤児院に侵入していたとしても……
と言うか……
もしも!
かりに!!
万が一!!!
マナト殿が本当に『けしからん連中』だったとしても……
……大丈夫だ!問題無い!!
せがれが【孤児院の封印が健在】であることを確認すれば
【埋蔵金は奪われていない】と納得して
『けしからんマナト殿』の排除も、とりあえず止めるハズだ』
……てな。
これにはさすがの俺も困ったぞ……
「そりゃ孤児院の封印なんてもう既に
【どっかの『けしからん連中』よりタチの悪い勘違い野郎】
が解いちゃいましたからねぇ……」
オノレ【どっかの勘違い野郎】……
どこの誰だか知らないがロクなことしねーな……




