039 許せません
読者の皆さま
新年あけましておめでとうございます。
本年の皆様のご多幸をお祈り申し上げます。
今後とも本作品のご引き立てをよろしくお願い申し上げます。
―そのコがその男を気に入らない理由。マナト、ホントはわかってるよね?―
アニーがこれまでにない真面目な声で、俺に問いかけてきた。
気に入らない理由…やっぱりミラにもバレてたか…
最初にミラがジークを見た時の視線、険しかったもんな…
「おるとろすの事…だよな?」
―そう。その男が死にかけのオオカミ利用しようとしたんでしょ?―
なんかアニーの目が見たこともないほどに…暗い。
アニーの声が聞いたこともないほどに…冷たい。
おるとろすを見て、泣いてた姿がウソみたいだ…
ちらりとアニーの傍らにいるミラを見てみると、
獲物を狙うライオンのような鋭い眼光を発して、ジークを睨みつけている…
ただし、ちょこんと正座して、おるとろすを両手で胸に抱きながら
ほっぺた膨らませて…
うん。深刻なクール不足でいろいろと台無しだ。
本心隠すの得意設定が、まったく息してない。
「ちょ!…自分…ただ街に誘導しただけッス…」
―餓死寸前の小さなオオカミを…でしょ―
「むしろ誘導というか…自分が近づいたら街の方に逃げて行ったというか…」
―命あるものを自分の都合で利用しようと思ったこと自体が、もうダメなんだよ―
必死に弁解の言葉を絞り出すジークを、アニーは片っ端から叩き潰す。
これが本気の自称女神か…
殆ど忘れ去っていたが、こいつは転生を司る存在だった。
それだけに命あるものを道具のように利用することが許せないんだ…
…ん?…おいちょっと待てこらそこのネコ!
ジークが餓死寸前のおるとろすを自分勝手に利用しようとしたのが
許せないのはいいだろう。そこは俺も同意する。
だけどな…忘れていることがある!
それをネコに思い出させてやる。
「…そう言えば、俺の命を利用しようとした女神が居たらしい」
―…あ…―
急激に自称女神の暗く冷たい感じが消えていき、目を泳がせ始める。
俺はとりあえず思いつく限り畳みかけた。
「【認識操作】を自ら授けた人物を自分の保身のために居なかったことにした女が居たらしい」
―う…―
「それと【調教師】を授かった人間が転生者を奴隷にして…」
―にゃ~~~~ごめんなさ~い―
あ、泣き出した。というか、ようやく自称女神がごめんなさいしたな…
とりあえずコイツが泣き止むのを待って、話を続けよう。
「自分の事を棚上げして、ジークを一方的には責められないよな」
―む~~~~~―
「だから、ジークにもごめんなさいさせるということで――」
どうかひとつ…と続くはずだった俺の言葉は、ミラの次の一言にかき消された。
「嫌です…」
え?
「たとえこのコが許しても、私は…許せません」
ミラがほっぺた膨らませてぷぃっとそっぽを向く。
これがミラの本質なのか隷属の首輪による影響なのかは分からないが、
クール系美女の可愛い系美少女化が止まらない…
まぁキャラ崩壊が止まらないなら、徹底的にチョロイン攻略で堕とす!
「だがミラよ、こう考えてみてはどうだろうか?…」
俺が真剣なまなざしをミラに向けると、ミラは黙って俺の言葉を待った。
俺は、充分な間をおいてその言葉を解放する!
「ジークはミラとおるとろすの出逢いを演出してくれたのだ!」
「なんということでしょう!」
正統クールビューティの、肉食獣が獲物を狩る寸前の鋭い眼光も
またたく間に
ばえるジャンボパフェを狩るスイーツ女子のようなキラキラまなこに…
色々チョロすぎて辛い…
その後、ジークの渾身の平謝りにミラは、寛大な許しを与えた。




