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女神(自称)の御業の後始末  作者: ゆんど
第一部・第一章
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038 なんだってぇー!

「で、その()()奴隷は何者ですか?」


クールビューティ全開のミラがジークを冷たく睨みつけながら言い放った。


…でも直前まで、鏡の前で嬉しそうにチョーカー(隷属の首輪)をいろんな角度から眺めては、

照れくさそうに指でなぞって、デレデレになったかと思うと、また嬉しそうに

鏡に映しては眺めて…を散々繰り返しておいて、今更冷たい眼光で睨みつけても、

もはや意味がないよ…

むしろ生暖かい眼差しで受け止めちゃうよ…

それと、第一婦人みたいに言わないでください。


「そ・い・つ・が・な・ぜ・だ・い・い・ち・な・ん・で・す・か・?」


あぁ…うん…

そんなにミラより先にジークが奴隷になったことが気に入らないんだね…

懸命に『クール』を引っ張り出して、ジークを睨みつけてるよ…

でもどう見ても、ほっぺた膨らませて睨みつけてるよ…

もう、何も怖くないよ…

フツーにスネてるようにしか見えないよ…


というか…ミラには“第一”ってのが重要なのかな…?

それなら、ジークが第一じゃなければいいのかな?

…うん。どうにかできるかもしれない。

とりあえず真顔で堂々と言い張って、行けるところまで行ってみよう…


「ミラよ。その第一というのはお前の勘違いだ」

「私の勘違いですか?」

「ああそうだ。ひとつだけ大きな勘違いをしている…」


いつになく、真剣な表情の俺の言葉に、ミラも真剣な表情を取り戻すと、

どこに勘違いがあるのか、ミラは一生懸命考えているようだが、判らないだろう。

俺自身、内心は勘違いで通せるかまるっきり自信がないからな!

というか、「おいおい行けちゃったよ」まである。


「勘違いというのは順番だ。実は…おるとろすの方がジークよりも………

 先だったんだよ!」

「なんだってぇー!」


なんか、一瞬で目から鱗が落ちたような表情に変わったよ。

あれ?…マジで最後まで行けちゃいそうだな…

っていうかミラって意外と…


まぁ実際は、おるとろすの場合は《隷属の首輪》ではなく《使役》を行使したから

正確には奴隷ではない。

が、俺に使役、服従という結果だけ見ればどちらも同じこと。


「同じなのだから、おるとろすが先と思っていいのだよ!」

「な…なるほど、確かにマナトさまの言う通りです」


少しだけ納得したかのように、ミラが頷いてみせる。


俺も一つだけ大きな勘違いをしていた…

ミラはもっとクール系仕事一筋秘書タイプだと思っていた…

だが実はただの天然クーデレチョロインだったんだよ!

なんだってぇ!

…ごほん…

これだけチョロいなら…多分トドメを刺せる!


「さらに、俺に《使役》されるということは、俺を「主」と認めるということだ」

「確かにその通りです」

「ならば!一番最初に俺を「主」と呼んだのは…誰だった?」

「ああああああ!」


ミラが目を大きく見開いた。

よしきた!答えに気付いたようだな…

ならば、これで…トドメだ!


「つまり、俺の中の()()奴隷は…ミラ!お前だ!!」

「あああああああああああああああ!」


ミラが、なんかものすごく幸せそうな表情で固まっちゃったよ…

というか、こんな誤魔化しが通じちゃうことにびっくりだよ!


「なぁ…アニー?」

―にゃ?―


自称女神のネコ化が止まらない…


「愛玩神獣で隠れドMでチョロインでペットをこよなく愛するクーデレ第一奴隷…

ミラさまはこんなに属性を持って、どちらに向かおうとしておられるのですか?」

―せいひろいん兼せいどれい?―


うをい!即答かよ!

そしてなんで今ひらがなで言った?!

しかも1個目と2個目の()()の意味が確信犯的に違うよね?!

最近の連ドラの「次週最終章」と「次週最終回」くらい違うよね?!


―冗談はさておき―

「冗談かよ!冗談でよかったよ!」


ホッとしたのもつかの間、次に続くアニーの言葉は、冗談では済まないようだ。


そのコ(ミラ)その男(ジーク)を気に入らない理由。マナト、ホントはわかってるよね?―


アニーのその言葉には、一切冗談の響きが含まれていなかった。

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