445裏 化しスの回想
リスのフリと言えば……
わたしはなんでリスのフリしてたんだっけ……
話は、わたしが『選ばれし者』を引き継いだ時まで遡る。
あの頃の私は『選ばれし者の初仕事』として、
ただひたすらに『獣化病』の研究をし続ける毎日だったっけ……
「『選ばれし者の初仕事』を連続失敗した挙句、
その失敗を無視し続けた毎日の話なら、
『395』でもうやったから飛ばしていいぞ」
……ゴルァ! ろくでなし主人公!
ひとの回想に割り込まないでよ!
『そんなことより、
僕としてもキミの失敗の日々は振り返りたくないかな……』
おにぃまで割り込んできた……
っていうか、無様とか言うなし!
……わかったよ! 飛ばしますよ!
話は、わたしが『獣化病』を発症した時まで遡る。
と言っても、獣化病発症の時の記憶はない。
あるのは『目覚めたらリスだった』という事実と、
『その後は自分の身体が自分の意志で動かせなかった』記憶だけ。
『リスになった時の記憶が無いのは
【寝込みを襲われたから】で、
身体が自分の意志で動かせなかったのは
【『《リス》の技能核の欠片』の使役下に堕ちていたから】だね』
「なるほど。 何の対策もせずに惰眠を貪っていたってことか……」
ろくでなしが失礼なことを言うなし!
ちゃんと【英知の守護】で『素材の持ち味を最大限に引き出し』てたよ!
それでも発症しちゃったんだよ!
「つまり【英知の守護神】が仕事をしなかったのか……」
『……いや、待って?
それは聞き捨てならないな……
確かにリス化を防げなかったことは痛恨の極みだけど、
それでも『持ち味を最大限に引き出す』ことはできたから、
【《リス》の使役下に堕ちても記憶が残せた】んだよ?
むしろ僕の頑張りを讃えてもらいたいよ!』
「それは仕事をしなかったなんて言って、正直すまんかった!
【英知】はちゃんと頑張ってたんだな!」
『わかってくれればいいんだよ』
……いや、待って?
それこそ聞き捨てならないよ……
確かに『持ち味を引き出し』て記憶は残ったけど、
『《リス》の使役下にガッツリ堕ちた記憶』だよ?
むしろそんな記憶は残してほしく無かったよ!




