397裏 ひとりぼっちの首席卒業
やがて、アヤツは『専門学校分校舎』を首席で卒業し、
晴れて『飛び級冒険者』として『孤児院』を巣立つことになるのだが――
「えーと……」
――マナト殿、如何なされた?
「なぁアニー、あの記述はツッコむべきか? それとも、スルーすべきか?」
-あたしなら迷わずツッコむよ?-
「それなら……
待てコラ、オーナー殿!? 『生徒数1名の首席』ってどういうこっちゃ!」
……それは、えーと、そのつまり……
「………」
……ところで、アヤツが卒業したちょうどその頃、
この街の裏では、
【冒険者ギルドマスターを主犯とする『とある闇ビジネスの横行』】
と、そのビジネスに伴う、
【自身の実力を誤認した『戦力外飛び級冒険者』の大量発生問題】
という、ふたつの問題を抱えていてな……
「……俺のツッコミはスルーかよ!
っていうか『専門学校裏口ビジネス』のことなら知ってるよ!
【街の有力者が一致団結して、
冒険者ギルマスもろともに裏口ビジネスの真相を闇に葬り、
新ギルマスの娘の隊長さんが『冒険者ランク見直し隊』を結成して、
『裏口卒業した飛び級冒険者』を隊員として囲い込み、
その親どもから出資金を巻き上げてる話】
だろ?」
……マナト殿が随分と辛辣な物言いだが、
『冒険者ランク見直し隊』に何か嫌な思い出でもあるのだろうか?
それはさておき、
マナト殿がそこまで詳しく御存知なら、
今さらワシが説明することは無さそうだ。
ワシはこの『見直し隊』にアヤツを入隊させることにしたのだが、
そのためには、アヤツに肩書を持たせる必要があってな……
「その肩書が『首席卒業の飛び級ゆうしゃ』ってワケか?」
まぁ、そういうことだな。
例え『生徒数1名の首席』であろうとも、
『アヤツが首席卒業生で間違いない』だろう?
「……嘘でないなら、しょうがないな!」
それと、決してマナト殿のツッコミをスルーしたわけではないからな?
「ってか、例え『首席卒業生』が嘘ではなくても、
アイツの『戦力外出鱈目知識』も嘘ではないから、
すぐに実力不足が露呈して『不正飛び級』とか言われるんじゃ?」
そう思うだろ? だが、大丈夫だ。
実力に関しては、アヤツも『裏口飛び級本校生』も似たようなものだし、
もしもアヤツが『不正飛び級』のそしりを受けたなら、
『冒険者ランク見直し隊』への出資を即停止して、
『専門学校生ではないギルマスの御息女が、なぜか飛び級してる件』
を大々的に不正扱いしてくれるわ!
「……つまりオーナー殿はアイツが、
『裏口飛び級の不正卒業生と大差なしの実力』
と、正しく認識した上で『首席卒業生』と主張したってことだな?」
……え?
と、とにかく、アヤツは『首席卒業生』の実力を存分に活かすため、
『見直し隊』に入隊したワケだ!
娘さん:(マナトさんのツッコミをスルーした……)
ジーク:(アニキのツッコミをスルーしたッス……)




