378裏 詐欺と誤解とモドキ種と
「たしかこの街では、『孤児院出身の冒険者たち』が
食材レアリティ詐欺を働いていたって話だったよな?」
マナト殿、それは『複雑な事情』が産んだ『誤解』なのだ。
この『複雑な事情』について、ぜひ説明させてほしい。
さて、説明させてほしいとは言ったものの、
一体何から話せばよいのやら……
……よし!
まずは、この街の周囲の『自然環境』と、
この街の『食糧事情』から話すとしよう。
そもそも、この街は、
冒険者の街として、それなりに栄えているが、
住民は冒険者ばかりでなく、
生産業……一般住民の農家や酪農家も居るし、
街を一歩出れば、
その周囲には森、岩山、草原、迷宮と大自然が広がっていて、
狩人たちは大自然の恵みたる『野生動物』を狩り、
冒険者は、大自然の驚異たる『野生魔物』を狩るわけだ。
「オーナー殿? 野生じゃない魔物も居るのか?」
「マナト殿……
そこは『野生動物にかかる単語被せ』とでも思って、
軽く流してもらいたいのだが……」
「そ、そうか……」
まぁとにかく、
そんな大自然の中で、狩人や冒険者が狩った獲物のうち、
食用に適したものは、もちろん、街の住民の食卓に並ぶわけだ。
これらの食糧事情を踏まえて、
いよいよ本題の『食材詐欺の誤解』について説明してみようか……
いや、その前に『モドキ種』の説明が先か?
「ここでまさかの『モドキ種』が出てくるのか!?」
「マナト殿は『モドキ種』に興味がおありか?」
「オーナー殿の食事処で、はじめてその存在を知ったときから、
一度詳しく訊いてみたいと思ってたんだ」
なら次は『モドキ種』の説明で決まりだな。
ところで、
当時のワシは『街の英雄の冒険者』であると同時に、
『この手で仕入れた動物食材や厳選食材』の数々を、
この街はもとより、よその多くの地域を相手に、
手広く取引する『貿易商』でもあったのだが、
ある日のこと、ワシが食材の調達に出かけた時、
野生動物の群れに、仲良く混ざる魔物の姿を発見したのだ。
その野生動物は普段から大人しい草食動物で、
一方その魔物は、普段から凶暴な肉食の魔物だ。
このあり得ない組み合わせの共存に興味を持ったワシは、
食材調達の事など忘れて、じっくり観察してみたのだが、
ふとその魔物の醸し出す雰囲気が、
どうにも周りの動物のそれと似ているというか、
なんとなく先ほどワシが言ったような
『弱体化した魔物』の雰囲気にも似ているというか……
とにかくその魔物に、そんな感じの印象を持ったのだ。
この『弱体化した魔物』が気になったワシは、
なんとなく『スカタン』で解析してみたところ、
なんと驚くべきことに、
『魔物の姿をした、ただの野生動物』
であることが判明したのだ!
この新事実を知った時、
ワシは、やはり先ほど言ったように、
『街の中に、凶暴化した家畜が現れた』ことを思い出した。
この『凶暴化した家畜』に、
何やら予感めいたものを感じたワシは、
同じように『スカタン』で解析してみると、
予感が的中したというか、その家畜は予想通り、
『家畜の姿をした、魔物』
だったわけだ!
つまりこれらの『魔物――
「『つまりこれらの、
『魔物の姿をした野生動物』や『家畜の姿をした魔物』
こそが、いわゆる『モドキ種』だったのだ!』
……ってオーナー殿は言いたいのか?」
――そ、その通りだマナト殿……
ジーク:なんで最後、オーナー殿のセリフを奪ったッスか?!
マナト:途中でオチが読めたから、つい……




