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女神(自称)の御業の後始末  作者: ゆんど
第一部・第六章
462/1014

367裏 獣化病

ところで、旅に出ている我が兄の話だが――


「ちょっと待てオーナー殿。

 『獣化病(ライカンスロープ)』の話の続きじゃないんかい?!」


ふむ? マナト殿は『獣化病(ライカンスロープ)』について詳しく聞きたいのか?


「そりゃ聞きたいに決まっているだろ!」


そ、そうか……

では話すとしようか……

事の発端は、冒険者ギルドへの、とある住民の捜索依頼だった。

とある狩人が仕事で森に入ったきり戻ってこないという。


その森というのも、

特に凶暴な魔物や危険な野生動物が棲んでいるわけでもなく、

野盗の隠れ家があるわけでもないので、

そう言ったモノに襲われることはないであろう安全な森で、

その森の事は、誰よりも件の狩人が熟知している場所なのだ。


その依頼を受けたワシらが森に急行すると、

難なく狩人の荷物と、そのすぐ傍で蹲る『くろいぬ』が発見された。


はじめは【狩人が『くろいぬ』に襲われた】ものと考えて

この『くろいぬ』を討伐しかけたのだが、

魔物使いであるサイコさんが魔物鑑定を行ったところ、

『この『くろいぬ』こそが、獣化病(ライカンスロープ)を発症した狩人本人』

であることが判明したのだ。


獣化病(ライカンスロープ)』とは伝染病の一種で、

いわゆる()()のような『獣人の魔物(ライカンスロープ)』の牙や爪などから感染するが、

感染したからと言って、直ちに発症することは無く、

その感染源となった『獣人の魔物』が、

感染者の目の前で『祈りを捧げる(呪いをかける)』ことで発症するとされている。


つまり発症者がいるという事は、

その周囲に感染源である『獣人の魔物』が居るということで、

ワシらは即座に周囲の捜索を行ったものの、

魔物の姿はおろか、付近に居た痕跡すら発見できなかった。


また、感染者は発症した時点で

『身も心も『獣化』し、仲間(感染者)を増やす』とされているため、

発症者を救うには『発症者を討伐する』ほかないのだが、

どういうわけか件の狩人においては、

『くろいぬ』なのは『その見た目だけ』

……つまり、

『身は獣化しているが、心までは獣化していない』ことが判明したのだ。


ワシの知る『獣化病』とは何かが違う……

そう思ったワシは、この『発症者』をどうしても討伐する気にはなれず、

かと言って、家族のもとに帰らせるわけにもいかなかったので、


ワシはひとまず『発症者』を、討伐し(()()()()())て、

秘密裏に『我が一族の遺跡』に収容し、様子を見ることにした。

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