028 ミラさまご乱心
「全員で囲んで蹴っ飛ばせばいくらでも勝てそうだけどな」
と、俺が漏らした独り言をオッサンが聞き取り、その表情を険しくした。
「そうは言うけどな、あんちゃん…おめぇ、できるのか?」
え?っていうかオッサン怒ってる?
「あんなつぶらな瞳を潤ませた、弱り切ったガキのオオカミを蹴っ飛ばせるのかって聞いてんだ!」
オッサンに力いっぱい怒鳴られた。そういう事か…
ごめんなさい。俺にはとてもできません。
むしろできる奴が居たら、そいつの血は何色だ!と怒鳴りつける…まである。
ただなぁ…全員自爆ってなぁ…
「蹴とばせないにしても、団員全員ぶっ倒れてるってのもどうよ?」
「これが我々自警団の実力だ!」
おいオッサン、威張って言うな。
ここは、穏便に追っ払うべきところだが、見てないところで飢え死にされても目覚めが悪いな…
とりあえず近づいてみるが、オオカミは怯えきっており、目に涙を浮かべながら
キャンキャン吠えまくり、後ろ足で砂を飛ばしてきたかと思えば、
空腹を押してふらふらと逃げ回る。
これでは退治はもちろん、保護も満足にできない。
どうしようかと相談するためにミラを見ると
…え?ミラが俺を睨んでる?なんで?!
「マナトさま…【調教師】を【創成】してください!今すぐに!」
なんか、ミラが周りに聞こえないように器用に俺を怒鳴りつけてきた。
っていうか、ミラの目が手負いの獅子かってくらいにヤバい…
その鋭い眼光に、俺は思わず身をすくめてしまった。
俺がもたもたしていると、ミラが苛立ち全開で再び怒鳴りつけてきた。
「マナト!さっさとする!!」
「あっはい!ミラさま!」
これは逆らったらアカンやつや
言われたとおりに【創成】を行使しておこう。
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【調教師】:野生動物を手名付けることができる。
また、手名付けた動物の様々な知識を得ることができる。
《使役》:視界内で一定距離にいる対象を手名付ける。
元気で強い対象ほど成功率が低く、
弱っているほど成功率が高くなる。
《隷属の首輪》:使役できない対象であっても確実に服従させる。
ただし、直接対象の首元に直に接触する必要がある。
首に巻くものであれば、大きさや形状は任意に指定可能。
《意思疎通》:使役、服従対象との意思疎通が可能となる。
《共有》:使役、服従対象と記憶、感覚、生命力、
固有以外の能力、技能、魔法等を共有、行使可能となる。
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なんか技能がいっぱい付いてきたが今は確認している暇はない。
「ミラさま、できました!」
「オオカミを視界にとらえて《使役》と念じなさいっ!さあ早く!」
いつの間にか立場が入れ替わっているが、今余計なことを口にしたら、俺の命が終わる気がする。
能力の使い方が分からないがとりあえず、俺は言われるままに《使役》を念じた。




