閑話 『○○使い』にできること
「なんで『人間』は使役難度が高いんス?」
「人間は『使役対象として自由を奪われること』
を極端に嫌う生き物だからだよ」
人間はあらゆる生物の中でも、特にエゴが強い生き物なのだ。
「俺が初めてジークに《首輪》を巻いた時も、
奪えたのは身体の自由だけで、心までは奪えなかっただろ?」
「……そんなこともあったッスね……」
あの時はジークをフルボッコにして心を折ることで、
ようやく奴隷にしたわけだが……
基本的に使役対象が使役主に対して、
『抵抗を諦める』か『服従してもいい』と思わない限り、
『使役主は使役対象を使役できない』というわけだ。
「自分わかったッス!
【賊のカリスマ】や【無邪気な笑顔】は、
直接心に作用して『服従してもいい』と思わせるから、
相手が『人間』でも使役対象にできるんスね!」
そういうことか!
「アニキ、わかってなかったんスね……セリフとルビが逆っス……」
し、しまったぁ!
……たった1字の違いなのに……
ここは、ジークの使役主としての面目を保つべく、
誤魔化すように話をかえて、
『○○使いの使役主と使役対象』について説明してみよう!
「……いちおーきかせてもらうッスー」
「棒読みやめて!」
さて『使役対象は使役主に絶対服従となる』ことについては、
わざわざ説明する必要はないだろう。
当然、使役主は様々な命令を使役対象に下せるようになるわけだが、
この時、使役対象の知力が低いと、
命令内容を正しく理解できなかったりするし、
命令内容を理解できたとしても、
使役対象の能力を超えた命令を完遂することはできないわけだ。
例えば……
『近所の銀行に忍び込んで金庫を破り、中身を盗んで来い』
という命令を、使役対象の『チャバネなGくん』にしたとしよう。
この場合どうなると思う?
「まず命令内容が理解できないッスね」
だな。では、同じ命令を『見直し隊副隊長』にしたとすると?
「命令内容は理解できても、彼に金庫は破れないッスね」
そういうことだ。
だが、使役主がこの命令内容を、
なんとしても完遂したいと願った場合はどうすればいいか?
「使役対象を『操って』使役主自ら、命令内容を完遂する…ッスか?」
その通り!
だが『Gくん』を操ったところで、
『Gくん』の身体能力では金庫は破れないし、
『副隊長』を操ったところで、
使役主が『金庫を破る能力』を持ち合わせていなければ、
やっぱり金庫は破れない。
結局のところ、
『○○使いは、最低でも使役主か使役対象のどちらか一方が、
単独でできることしかできない』
というわけだ。
「『受付嬢とリスさんコンビの副隊長毒殺』
の件ではどうだったんスか?」
どう…とは?
「『リスさんが命令を理解できる知能の持ち主』だったのか
『受付嬢がリスさんを操れば、実行できる殺害事件だった』のか?
ってことッス」
あぁ、そういうことか。
それは…………




