268 超必殺!ミラ・マシンガン!
「さて…ミラ殿。何があったのか説明頂けますか?」
隊長さんがミラに説明を求めると、
ミラは素直にその求めに応じ、例の早口で説明しはじめた。
「隊長殿に報告致します。
我が主が受付職員殿の求めに応じ、冒険者登録証を提示した際、
そちらの『冒険王』殿が受付職員殿と結託し、
我が主が所有する『冒険者登録証』を模した
『オリハルコンのインゴット』を強奪。
聡明なる隊長殿におかれましては、これなる登録証の価値は言うに及ばず。
敢えて申し上げるならば、世界に二つとない希少なもの也。
故に我が主が『俺の登録証返せよ!ぅわ~ん!』と相成りまして候。
我が言に疑いあらば、
『冒険王』殿のその手にある登録証を、検め頂きたき所存」
そう!久しぶりの『虚実混じりの口上』さく裂だ!
…そうか…俺は
『受付嬢とボーケンオーの結託』による
『オリハルコンのインゴット』強奪の被害者だったのか!(驚愕の新事実)
俺の体感とは随分と違う気がするが、一応嘘は言ってな…
いや、ちょっと待て!
『俺の登録証返せよ』は言ったけど『ぅわ~ん』までは言ってないよね?!
隊長さんも、
『怖かったですね…泣かないでください…よしよし』
みたいな暖かな眼差しを俺に向けるんじゃない!
一方、驚愕の新事実を叩きつけられたボーケンオーは、
「お、おい!『オリハルコン強奪』ってなんだよ!
…俺、知らねえよ!
俺が奪い取ったのは『むしけら』の登録証じゃねーのかよ!
『神の金属』だなんて知らなかったんだよ!
ホントだって!
大体『神の金属』の『むしけら』の登録証なんてふざけたもの、
普通あるとは思わねーし、
そんなもの知ってて奪おうものなら重大な野盗行為じゃねーか!
返す!返すよ!返すに決まってるだろ!」
などと、大慌てで登録証を丁寧に俺に差し出してきた。
普通の『『むしけら』の登録証』は、
ぶっちゃけ『ただの紙製のスタンプカード』だから、
例え嫌がらせで破り捨てたとしても、いくらでも再発行可能なシロモノだ。
それを『貴重な神の金属』の強奪犯に仕立て上げられたとあっては、
さすがのボーケンオーも全力で否定しつつ、
大慌てで俺に登録証を返却したがるというものだ。
…まぁ、さっき一度返ってきたのに、ミラがわざわざ投げ返したんだけどな…
まさかミラは『登録証をボーケンオーに奪われた』状況を作り上げる目的で、
登録証をボーケンオーに投げ返したのか?
…ミラ…恐ろしい子…




