014 街にくりだそう
「よし、街の散策でもしてみるか」
―《完コピ》に行くの間違いでしょ?―
そうとも言う事もあるかもしれない気がしなくもなくもない。
俺はミラを連れて最初に来たRPG宿屋風の建物の廊下に戻ってきた。
これ、定期的にこの部屋出入りしないと、いつまでも留守とか、長い事引きこもってるとか思われそうだな。
「この建物全体が主のものなので、大丈夫です」
マジか、この部屋一個だけかと思ってた!
ありがとう大主様、でも気前良すぎじゃね?
と、気分良く感謝していたら、大主の声が聞こえてきた。
―アニーの飼育代だと思えばむしろ少ないくらいだよ―
「むしろぼったくられてる気がしてきたよ!」
表に出て建物を眺めてみる。
うん、やっぱりRPG宿屋っぽい…
「主、【認識操作】の行使をお忘れなく」
あ、そうだった。ええと…
“一週間ほど前にこの街に越してきた。住民は皆、快く受け入れてくれた”
こんな感じでどうだろう…俺は【認識操作】を念じた。
「では主、行きましょう」
街中をしばらく歩いてみるか…
王道の冒険者ギルドとかあるかな?あるかな?
俺は、期待に胸を膨らませ、颯爽と歩いていた。
ところが…
次の瞬間ミラに絶望の淵に叩き落された。
「あるにはありますが、自警団詰所になってます」
マジですか?!
「この辺りはダンジョンも無く魔物もいませんから…」
「ダンジョンも魔物もいないのかよ…」
冒険者としてダンジョンに入り、ゴブリンやコボルトやオークをばったばったとなぎ倒し
「ぼくわるいまものじゃないよ(ぷるぷる)」とか言い出す青いのを仲間に加えて灼熱の炎まで鍛えたりとかできないのか…
もっとも、俺はまだ、戦闘技能を何も持っていないので、魔物退治はそもそも無理なわけだが。
「ええと…農作業手伝いや家畜の世話、害獣退治や盗賊捕縛等の活動ならしておりますが…」
「武器屋とか魔法屋みたいな店は?」
「自警団が機能する程度の武器取り扱いはありますが、農具でも代用可能な程度のものです。生活魔法と冒険以外の長旅用の道具の店ならあります」
生活魔法と言えば、汚れを落とす魔法とか濡れた髪を乾かす魔法とかが有名なところだな…
ただの長旅とかだと無限収納の袋とかリュックとか売ってるのかな?
そう言えば無限収納系の【創成】試してなかったな…後で試してみるか…




