252裏 ミラ先生の楽しいキャンプ実習
俺は初めての『ミラ先生の楽しいキャンプ実習』を思い返していた。
-ミラ視点-
夕刻。
「マナトさま。ここが目的の森です」
「よし、じゃあちょっくら行ってきますか…」
マナトさまは、副隊長の贖罪用食材『アウルベアの手』を仕入れに、
森の奥に入って行きました。
「おや?『むしけら』ひとりで大丈夫なのか?
アウルベアは単体でも強いのに、この森では群生しているのだが…」
確かにアウルベアはフクロウの頭にクマの体という夜行性の魔物で、
アウルベア一匹で野生のヒグマ2~3匹分に匹敵する強敵ですが、
それならマナトさまおひとりでも、
副隊長が一緒に居ても戦力に大差はありません。
…むしろ足手まといが増える分弱くなるかも…
それに食材の仕入れと言いましたが、それは仮の目的で、
真の目的は『とある仕込み』にあるので、
今回は、マナトさまおひとりで行っていただきます。
「ミラ殿、全員で討伐に向かわないのなら、
なぜ我々は連れてこられたのですか?」
隊長殿、良い質問です。
今日皆さんを連れてきたのは、別の目的のためです。
その目的のために、私は早速《早着替え》を行使して…
さぁ皆さん!『ミラ先生と楽しいナイトキャンプ実習』の時間です!
「…だからここはアウルベアの群生地で、非常に危険な森なのだが…」
「先生…街に戻りましょう。今なら日没までに街に着きますから!」
あらら?副会長も会長殿もナイトキャンプはお嫌いですか?
「まぁ…嫌いではないが…」
「好きとか嫌いとかではなく、時間と場所が問題です!」
キャンプが嫌いだと言われたら、中止して街に戻るところでしたが、
嫌いでないのなら、時間と場所には何の問題もないので実習開始です。
「さて、冒険者たるもの、どのような環境でも
安全にキャンプを張るくらいできなければならないのです」
「はい!先生!」
「なんですか?会長殿?」
「それはもう、冒険者ではなく冒険家の部類です!」
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※冒険者…冒険を生業とする、プロ。
冒険家…冒険を趣味とする、一般人。
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ああ!なるほど!
私としたことが、これは盲点でした。
つまり会長殿の言葉に従うならば、
どうやら、私は『冒険家』だったようです。(新事実発覚)
ならば、趣味を全力で追いかける『冒険家』の私は、
なおさら、ここにキャンプを張らなければなりません!
「隊長…ミラ殿が本気になってしまったではないか!?」
「せ、先生…わたしが言いたいのはそこじゃない…」




