序章・前3
女神ねぇ…ホントにありふれた展開だな…つまらん。
もっと奇抜な展開にしないと俺なら序章で切るレベルの三流小説だ…
だが、一応訊くだけ訊いてみるか
「俺みたいな年寄りが女神に呼ばれたとなると、若返ったりチートがもらえたり、何か頼まれたりするのか?」
異世界召喚転生チーレムはラノベの王道だ。
これらがもらえたところでラノベテンプレの展開でしかないが、もらえるならもらっておきたい。
『…ホントに冷静に現状を受け止めてるのね…むしろ私が慌てふためいて呆然としたいくらいだわ…』
「それは悪かったな…なんせ失うものも怖いものもない、長生きだけがとりえの爺なんでな」
『第一、こういうときって名前から訊くもんじゃないの?』
名前…そう言えばそうだな…お互いに名乗ってなかったな…
「俺は真斗だ」
何せ他人と関わりのない独居老人だったからな…名前なんて意味のない生活だったが、それでも自分の名を忘れることはないようだ。
『うん。マナトね。私はミラ。こっちの猫はペットのアニー。マナトからすれば一応神獣になるのかな?』
あぁ…他人から名前で呼ばれるなんて何十年ぶりだろうか?
何せ99年も生きて未婚の寂しい人生送ってきたからな…
『でも結婚考えた時期はあったでしょ?女神の私は知っているわ』
確かにそういう相手が居るには居た。
…が、その相手…レイは何十年も前に病気で若くして他界した。
それ以降は全く異性に縁のない人生だった。
なんか今頃になって悲しくなってきたな…
陰鬱な表情を浮かべていると
『さっき、貴方は何か頼まれたりするのか?と言ったわね?…そのレイってコ、助けてもらいたいのよ』
ここにきて、初めて俺は驚いた…