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女神(自称)の御業の後始末  作者: ゆんど
第一部・第五章
254/1016

208 並食材とレア食材

『エルダードラゴンを討伐して、本物のエルダーの肉を入手する』

という、副隊長の申し出を受け入れるにあたり、

『ダンマス用』の食材収集は、誰でも受注可能なクエストとなった。


だが、副隊長が『ドラゴン相手となるといっぱしの冒険者では荷が重い』

と言いだして、クエスト受注にランク制限を設けるべきと主張してきた。


その結果『受注可能ランク:ゆうしゃ以上』と制限されたのだが、

現在この街にいる『ゆうしゃ』は俺が知る限り副隊長だけだ。


つまり『ダンマス用』食材収集は、

『冒険者ランク見直し隊』御一行様専用クエストになってしまった…


一方俺は、

『副隊長のエルダー討伐失敗を、冒険者活動を休止して見物する』ことになった。

しかも、

『俺が休止せずに活動した場合は、詐欺行為を認める』ことになるらしい…

俺が冒険者活動休止に追い込まれてから数日経ったある日、

俺はミラとともに『温泉宿迷宮』のポータル勝手口でオネーサマと会っていた。


「副隊長?もちろん今日も来てたわよぉ」


副隊長はオネーサマに、

『この地域ではお目にかからない』を売り文句に

『オネーサマの食材リスト』に()()()()()()レア食材ばかりを

『専用クエスト』そっちのけで毎日欠かさず売り込みに来ているようだ。


「食材リストに載ってないものでも、

 この街の迷宮で手に入る食材なら買い取ってもいいんだけど、

 『この地域で手に入らないモノ』をいくら売り込まれても困るのよねぇ…」


オネーサマが欲しいのは『ここ(温泉宿)でしか食べられない料理』のための食材だからな。


だが副隊長は

『この街から遠く離れた場所でしか手に入らない食材なのだから、

 この街の周辺だけで言えば、ここでしか食べられないも同然だろう』

と言い張って聞かないそうだ。


そんな、珍しいってだけの理由で需要の無いモノを売り込むヒマがあるなら、

そろそろ専用クエスト…というか『エルダーの肉』も売り込んで、

俺の冒険者活動休止を解いて欲しいのだが…


まさかアイツ(副隊長)、わざと『エルダーの肉』を入手せずに放置し続けて、

俺の活動休止期間を長引かせてやろう――とか考えてないよね?


それに、毎日熱心に食材売り込みするのはいいんだけど、

『冒険者ランクの見直し』や『悪徳ギルマスを懲らしめる』と言った

見直し隊の本来の活動はどうなってるんだよ…?


ところで副隊長が持ち込む『レア食材』は、

どういうわけか、その全てが『並食材』なのだそうだ。


思い起こせば、アイツを初めて見た時も、

レッサードラゴン(レア食材)と称してリザード(並食材)を売り込んでたわけだが、

そんな感じの売り込みを毎日続けているらしい。


『レア食材』だの『並食材だの』言われてもピンとこないだろうけど、

『レア食材』だから『たまにしか手に入らない』という意味ではないし、

『並食材』だから『いつでも、いくらでも手に入る』という意味でもない。


ちなみに『いつでも、いくらでも手に入る』のは『一般食材』だ。


さらに言えば、一口に『並食材』と言ってもピンキリで、

入手が簡単な『並並食材』もあれば、

入手が難しい『並レア(高級)食材』もあるからややこしい。


元の世界で例えると、

一口に『キノコ』と言っても、

入手が簡単なシイタケ(並並食材)もあれば、入手が難しいマツタケ(並レア食材)もあるけど、

どちらも『スーパーで手に入るキノコ』であることに違いはない。


そして、スーパーではお目にかからないキヌガサタケ(レア食材)みたいなのもあるけど、

群生地に行けばいくらでも手に入る…的な。


その意味では、アイツが『レッサードラゴン(レア食材)』だと言い張っていた

ジャイアントリザード(並食材)』も、

うちの迷宮に配置してない点で、一応入手が難しい『並レア食材』と言っていい。


副隊長の売り込みの話に戻るが、

オネーサマが『その『レア食材』は『並食材』だ』といくら指摘しても、

副隊長は『レア食材を並食材と勘違いしているのはオネーサマの方だ』と主張し、


オネーサマがレア食材の現物として、

『俺が生成して渡したレア食材』を片っ端から並べて説明しても、


『全て『むしけら詐欺師(マナト)』がオネーサマを騙すために用意した偽物だ』

と完全に決めつけているらしい。


っていうか、ここまで来ると、

むしろ副隊長こそが『並食材をレア食材と偽る詐欺師』じゃないか…


「でもねぇマナトちゃん。

 副隊長自身は並食材をレア食材と本気で思い込んでいるみたいなのよ」


なんやそれ…

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