005 大自然に囲まれて3
「なんであいつらが居るんだよ!」
『独りで住むにはデカすぎるんだろう?』
いや、そうだけど…そうだけど!
ドアをそっ閉じしたものの、リビングを通らないと玄関ホールにもたどり着けない。
このドアにはもちろんプレートはない。
仕方なく、再度ドアを開いてリビングに入る。
「お待ちしておりました。主」
「主?俺の事か?というか…アニー?」
「このミラ、貴方を主と仰げと大主より仰せつかりました。主の望むままに…奴隷が望みなら喜んでなりましょう」
「望まないよ?!」
ミラは、跪いたまま深々と頭を下げる
姿や名前はミラだが、この声と口調は確かにアニーだ。
混乱していると、俺の足をちょんちょんと突っつかれているような…
足元に視線を移すと白猫が居た。
―アニーはあたしだよ?―
白猫が不思議そうに小首をかしげつつ答える。
姿や名前はアニーだが、この声と口調は確かにミラだ。
「おい!大主!説明っ!!!」
俺は驚きのあまり声を失うが、それでもどうにか言葉を絞り出した。
『んー…ほら、言ったじゃないか。のし付けてあげるよって』
「要らないって言ったよね?」
『心入れ替えてマシになったら考えてもいいって言ってたじゃないか』
「言ってないよ!思っただけだよ!」
『私の前で思ったなら言ったも同然だよ?』
「ってか、心入れ替えての意味ちがくね?心入れ替わっちゃってるよね?!」
もはや何からツッコむべきか分からなくなってきたところに
白猫が追い打ちをかけてくる。
―マナト変わった?―
「え?」
―前は冷静で落ち着き払ったつまんない感じだったけど、今はいい感じ―
自分でも言われて初めて気がついた。
先ほどから驚きとツッコミの連続だ。
ちょっと前までなら、軽く流すなり受けとめるなりしていただろう。
『それは私が、寿命を削られたきみの魂を戻すために若返らせたからだな』
「何それ聞いてないよ?!」
『今はじめて言ったからね』
大主のトドメで、ツッコミどころがまた増えた…




