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女神(自称)の御業の後始末  作者: ゆんど
第一部・第四章
229/1014

188 後任マスター就任演説

「『辺境支部』支部長をコア・リボーン後任マスターに任命する」

マスター様がそう宣言すると、

職員全員がそのマスター就任を賛成するかのように、

大歓声をもって営業マンを讃えた。


確かに、営業マンが営業部に顔を出したときの歓迎ムードは凄いものだったが、

こうもあっさりマスター就任が受け入れられる程の人望だったとは…

なるほど、営業マンが名前持ちキャラなのは伊達ではないようだ。


もしかすると『下っ端作業員』は自身の地位を脅かす存在とみなして、

追い出しを図っていたのかもしれないな…

まぁ、裏目の天才のすることだから、結局この結果になったわけだが…


営業マンがマスターに就任して影武者マスターが辞職するならば、

わざわざ『造って届けりゃいいじゃない』のシナリオを押し通す必要もない。

ならば、もはや俺の出る幕は無い…

営業マンを見れば、職員からマスターの就任演説を促されていた。


さて…帰るか…と、そっと踵を返したところを人事部嬢さんに止められた。


「せっかくですから、最後まで見ていってくださいよ」

「…そうだな、その雄姿を見届けるくらいはしておくか」




なぜこの時の俺は、そう答えてしまったのか…

今にして思えば、すぐにでも帰るべきだったんだ…

いや、そもそも本部に来るべきじゃなかったのかもしれない…

「マスター就任謹んでお受けするとともに、

 その初仕事として『辺境支部』における成果を披露しようと思います」


営業マンはそう切り出して、

辺境支部にて開発中の新しい人工コアの説明を始めた。

その人工コアは、まるで『天然モノ』と見間違うほど、高性能であるという…


「その試作品をご覧入れよう」


といいながら、営業マンは無限収納具のポーチから、

傷ひとつない新品のような()()コアを取り出して…


…ん?黒い?

って、人工コアちゃうやん!それ、ワシのやないかい!

それ、『旧人工コア製造機』の動力・素材用に

うちの街出るときに造って入れておいたコアユニットだよ!


そういうお披露目するなら、

お前らが人工コアと交換した壊れかけ偽装のコアにしとけばよかった…


「おい、ちょっとそれ良く見せろ!」


技術部長が営業マンのそばに駆け寄ると、そのコアを半ば奪うように受け取り、

興奮した様子で検品を始めた。


「これ、本当に人工コアなのか?…まるっきり『天然モノ』と見分けが…

 いやでも、つい最近製造されたばかりのコアに間違いないし…」


そりゃ、造ったばかりの新品だからな…

さすが技術部長、新品か発掘品かを簡単に見分けやがった…


「『辺境支部』の地で私は、ひとりの天才的な(コア)技師と出会いました!

 この人工コアはその、天才(コア)技師の手で造られたものなのです!」


…コイツ、何を言いだしやがった?そんなシナリオ用意してないぞ?

…なぜだろう?ボスの後継者に祭り上げられた時と同じ空気を感じる…


「ミラ、帰るぞ…というか、とっととずらか――

「お待ちください、()()()()殿()


――る前に人事部嬢さんに、がしっと肩を掴まれた!

って言うか、なんでアンタが俺をマスターと呼ぶ?!


「セインさんに聞きましたよ?マスター殿こそが、影武者を雇って

 辺境支部に身を隠していた、コア・リボーンの真のマスター様だって!」

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