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女神(自称)の御業の後始末  作者: ゆんど
第一部・第一章
22/1016

004 大自然に囲まれて2

バスルームを出たその奥に目を引く鉄扉があった。


『そこは金庫室になってるよ。当座の生活費のたしにと思って少額だが用意した』


俺の考える異世界ラノベの住むところに続く壁はやはり、金だ。

大抵は無一文で異世界に飛ばされ職もない。

元の世界の所持品を一つでも持ち込めていれば、それを売る選択肢もあるだろう。

俺もやはり、例にもれず裸一貫無一文の無職でここにいる。

下世話な話だが生活費が用意されてるなら少額でもありがたい。


その鉄扉は見た目に反して軽々と開いた。防犯する気ないだろと思うくらい軽々と開いた。

もっとも、ここには俺以外誰も来れないらしいがな。


鉄扉を開いた俺の目に飛び込んできた中の光景が、すぐさま俺に鉄扉を勢いよく閉めさせた。


「なぁ大主…大主の当座って何日くらいを言うんだ?」

『それほど長くはないよ…ほんの数千年くらいだ』

「長いよ!無茶苦茶長いよ!」


目に飛び込んできたその光景というのは「どこの造幣局の大金庫だよ」と言いたくなる光景だった。

いかん…この部屋は人間をダメにする…俺はいずれ封印しようと思う(今すぐするとは言ってない)


俺は今の光景を頭を振ってかき消し、一度リビングに戻ることにした。


『気に入ってもらえたかな?』

「ホントにここもらっていいのか?」

『定住出来そうかな?』

「独りで住むにはデカすぎるくらいだな…」


正直、元の世界で住んでた家よりかなり大きい。

高原の温泉付きペンションでも経営できそうだ。

客がたどり着けないけどな。


『まぁ広すぎて不便だというなら、街の部屋に戻ればいいさ』

「それもそうだな」

『それに独りが嫌なら…リビングにうってつけのものを用意した』

「リビングに?…なんか嫌な予感しかしないぞ…」


言われたとおりにリビングのドアを開くと

それはもう充分に見覚えのある…


…あの女が、傍らに白猫を従えて跪いて待っていた。



俺はリビングのドアを()()()()した。

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