168 契約書
マナト:さて…一応『下っ端作業員』の生け捕りに成功したわけだが…
ジーク:生きてる方が辛そうッスけどね…
俺とジークは、ミラが持ち帰ったボロ雑巾のような肉塊の処分に困っていた。
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※肉塊というのは、個人的な感想です。
※実際の作業員の状態とは異なる場合があります。
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『野盗狩り』を宣言執行した以上、生け捕りにこだわる必要は無いのだが、
相手は一応、コア・リボーンのギルドマスターであるため、
『ヘタに処分してしまうと、コア・リボーンは経営破綻に陥り、
その顧客の管理する迷宮の維持管理能力低下を引き起こし、
世界的な迷宮閉鎖騒動に発展しかねない』
って営業マンが泣きを入れてきた。
確かにそうなると、コア・リボーンの顧客からの恨みを買いそうだな…
もっとも、コア・リボーンの実態は、
顧客保有の『天然モノ』を回収して『人工コア』を製造し、
顧客に販売やレンタルという、破綻必至のリサイクル事業であり、
しかも、コア・リボーン保有の『天然モノ』は底を尽きているため、
ほっといても、コア・リボーンは沈むんだろうけど…
だとしても、顧客からの恨みを買うような事態を避けられるなら、
破綻を回避するに越したことはない。
さて…どうしたものか…
あ、いいことを思いついた!
「営業マンの望み通り、契約しようではないか!」
俺は、早速思いついた内容をもとに、営業マンに契約書を作成させると、
作業員は、その契約書を熟読し、
満面の笑みを浮かべ、大変歓喜して契約書にサインした。
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盗賊ギルド(以下『甲』)と下っ端作業員(以下『乙』)は以下のとおり、
甲による乙の身柄拘束契約(以下『本契約』)を締結する。
第一条
乙は甲に所属しなければならない。
第二条
乙が甲に所属している限り、甲は乙に対する野盗狩りの執行を猶予する。
第三条
乙は甲に所属した時点で、『盗賊ギルド協定』の『通り名規定』に従い、
現在の通り名である『コア・リボーンギルドマスター』を放棄し、
以後、乙は甲の許可なく放棄した通り名を使用してはならない。
第四条
甲は乙の新通り名を『下っ端作業員』と命名し、
乙の関わりある全地域に速やかに流布する。
第五条
乙は『コア製造機』を対価として、新通り名の流布を差し止めることができる。
第六条
乙は甲の許可なく、甲の管轄地域から転出してはならない。
第七条
乙は甲の許可なく、甲から離脱してはならない。
第八条
乙は常に、甲にその所在を明示しなければならない。
第九条
乙が本契約条文をひとつでも違えた場合、
甲は一方的に乙の登録を抹消することができる。
特約事項
・『コア製造機』保有者は『コア・リボーン』の運営義務と運営責任を負う。
・乙は契約順守の証として、
甲が提示する『タトゥー』をその身に刻むことを承諾する。
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