164裏 核融合による太陽生成…なるほど、わからん
そろそろ、遺跡型ダンジョンコアが、
こんな融合体になっちまった経緯を話してくれよ…
「ところで、古文書に重要なことが記されていましてね…」
その重要なことと言うのは、ズバリ、小さな太陽についての事らしい。
そもそも、その古文書とやらには、
いろんな素材を利用した、魔力型核の製法が記されているらしく、
その素材によって、出来上がる『コアの色』が違ってくるんだとか…。
例えば植物を素材にすると『緑』になったりとか、
空気を素材にすると、『ただの透明球』になったりとか、
そして、マスター野郎がやったように、
知性を素材にすると『黒』になるらしい。
その『黒』が古文書とやらのキモらしくて、
『黒い魔力型核と遺跡型核を同一の魔法空間に投入すると、
二つの核が空間の魔力を吸収して融合し、圧縮されて太陽に変化する。
これが『核融合反応による人工太陽の製法』である』
と記されていたらしいが…核融合反応?なんだそれ、聞いたことねぇ!
フカシてんじゃねーぞ?
…だが、確かに映像には
黒いコアとコア製造機をひとつのポーチに入れた直後に
太陽が飛び出て来た様子が映ってたんだったな…
それに、太陽が光を失った時に見えた、どこかで見憶えのある玉っころは、
確かにこの融合体に見えなくも無いような…
くそ…マスター野郎の言葉は、映像で観た通りって事じゃねーか…
マスター野郎の言葉にウソがないとすれば、
遺跡型コアが圧縮されて出来たのが融合体って事で、クソ重くて当然だわな…
「私の所有する遺跡型コアは、修理不能となり、
黒い魔力型コアも、蒸発するように消え去ってしまった今となっては、
証明できないことですがね…」
唐突にマスター野郎が言葉を発しやがった…
いや、オレが聞いてなかっただけか…
って、マスター野郎の言う事がホントなら、オレかなりヤバくね?
道具入れの中にオタカラとコア製造機を入れちまってるぞ!
…いやーな汗がオレの背中を伝い始めやがったぜ…
『店長…自分、用事を思い出したので先に帰っていいッスか』
と言おうとしたが、まるっきり声が出てこねぇ…
ふとマスター野郎に目をやったら…
コイツ!しっかりオレのポーチを見据えてやがる!
そして、ゆっくりとその一言を発しやがった!
「まぁ、本当に消え去ってしまったのなら…ね」




