002 ついに始まる異世界生活2
『本当に正直に言うんだな…』
大主が半ば呆れている。
でも、人間正直が一番だろ?
『まあいい。ちゃんと定住できる環境も用意してあるからね』
大主がついてこいとばかりに部屋を出るので、その後ろをついていく
部屋の外も、やはり宿屋を思わせる廊下や壁だ。
『ドアを見てごらん』
大主が今出てきた部屋のドアを指して言う。
ぱっと見、何の変哲もない普通の木製のドアだな。
…いや、ドアノブの所に小さなプレートが付いている。
元の世界でいえば、カードキーをピッってする感じのプレートだ。
『そのプレートに親指を押し当てながらドアを開いてごらん』
言われたとおりにプレートに触れると、プレートが淡い光に包まれた。
ごくりとつばを飲み込んでノブを回し、扉を開くと先ほどとは違う光景が目に飛び込んできた。
「玄関ホール…?」
大主と共に中に足を踏み入れると、背中越しにドアが閉まる音がした。
「閉じ込められたりしないよな?」
『開けてみればいいじゃないか』
言われるまでもなくドアノブに手をかけてそのまま開くと…
「どこだよここ!」
俺はその光景に吸い寄せられるように、外に歩み出た。
目の前に広がるのは草原と森と山々に囲まれた大自然だった。




