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女神(自称)の御業の後始末  作者: ゆんど
第一部・第四章
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131 じっくりのんびり

というわけで、M-IRA(withアニー)は最下層ボス兼受付係を務めることとなり、

これに、モブ受付嬢、兼任受付嬢、下っ端受付係を加えて

ポータルの受付係は、計4人となった。

ところで懸命に沈黙を貫いた、娘さんの上腕装備(ジーク)がないな…


「マスターならテストして来るって、新ダンジョンに乗り込んでいきましたよ」


そこには、同じく沈黙を貫いた俺の上腕装備(ミラ)も乗り込んでいるのだが、

2人そろって名誉挽回のつもりだろうか?


新ダンジョンと言うのは、俺が唐突に造ってみたくなった迷宮で、

『ただ中に入って、最奥にある攻略の証を持ち帰ってくるだけ』

の迷宮探索の基本のような簡単なものだ。


ただ、これまでの迷宮は、

ギルド舎内に入り口を繋いで古代迷宮を装ったものだったが、

新ダンジョンは、ギルド舎の外に迷宮の名を表すようなデザインの、

専用ポータルを用意した、この街初の新設迷宮だ。


その名を――


「いつまでテストに時間かかってんだよぉ!」


――言おうとしたら、チンピラ冒険者の怒鳴り声で遮られた。

その新ダンジョンの公開開始予定を

「テスト終了次第」と告知していたのだが、

いつまでもテストが終了しないので、

待ちきれなくなったチンピラ冒険者が、受付で怒鳴り散らしているようだ。


例によって『はぐれモブ受付嬢』は逃走を完了し、

M-IRAがひとり取り残されてキョトンとしている。

チンピラ冒険者は数名の取り巻きと共に受付を囲み、

M-IRAの全身をなめるように見回すと、舌をなめずりながら


「待ってる間、あんたがその体で相手してくれよぉ」

などと、にやけながらM-IRAに言い寄っている。


『そのような対応は致しかねます』

と、M-IRAがマニュアル対応で断るも

「そんなこと言わずにさぁ~ほんのちょっと(一人あたり2時間程度)でいいからさぁ~」

などと、もはや下卑た欲望全開で全くのお構いなしだ。


あ、これアカンやつや…


「これは確かにマズいですね…主にチンピラの命が」


うんうん。さすが娘さん。状況判断が完璧だ!


さて、どうしたものか…

M-IRAを助けてやるべきか、

それとも、チンピラ冒険者をなだめるべきか…


「チンピラ冒険者を、娘さんの『無邪気な笑顔』で黙らせるか?」

「ん…パスですね。私の笑顔は安くないですよ?」

「なら仕方ないな。他の手を考えよう」


他の手とは言うものの、正直手詰まりなんだよな…

あ、そうだ!


「まずは、遺憾砲の連射で様子見て、極めて深刻砲に換装というのはどうだ?」

「それだと、適切に対応砲を準備する時間がありませんよ?」

「これもだめか…次の手だ!」


などと、娘さんと一生懸命最善の手段を(じっくりのんびり)考えていると、

アニーがM-IRAとの近接状態を解除し(の頭から素早く降り)て、まったりと話しかけてきた。


-じっくり?-


おうともよ、こういうチンピラは対応を間違えると後が大変だ。

後に禍根を残さぬよう、じっくりと策を練る必要があるのだ。


-のんびり?-


「そうですね、焦ってヘタに手を出しても事態が悪化するだけです。

 ここは、多少のんびりとなっても、完璧な対応策を考える必要があるんです」


さすがは娘さんだ。現状の全てを正確に把握出来てなければ、

そのセリフは出てこない。


-で?結局のところ、どんな対応するの?-


実のところ、俺や娘さんはとっくに対応済みなのだ。

どんな対応かというと、

それはもちろん…


「ほっとく」

「ほっときましょう」

-でしょうね-


満場一致で『新人受付獣に全てを任せる』ことが採択された。

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