序章・転2
『そこから先は私が説明しよう…ところで“時間を遡って転生”する能力は
実は存在しなくてね…というのも、そもそも我らは
“過去未来に関係なく好きな時間を指定して転生を行う”事ができるんだ』
どうやら、俺の認識する時間経過という概念と、大主たちのそれとは全く別物ということらしい。
この辺りは俺には理解すらできないらしいからそういうものと思ってくれとのことだ。
『そして【時間逆行】の能力の真実は“寿命を対価に支払って過去に戻る”というものなんだけど…、君が初めにここに来たときは体を持たなかったそうだね?』
確かに俺はあの時、自分の体を見ることができなかったので、体は無く、魂の状態なのかと考えていたので、頷いた。
『つまるところ、魂の君と二つの能力で行われたのは“寿命を削って過去に戻り
君が転生したと思っていた人物の過去を改ざんしてその人物の魂が
初めから君の魂だったことにした”という事になる』
とんでもねー…ものすごくとんでもねー…
そうして寿命を削られた俺は、レイを解放した直後に寿命が尽きて死亡した…と…
…ん?でも待てよ…?そもそも俺は、元の世界で寿命を迎えたんだったよな?
『人間の寿命には、肉体の寿命と魂の寿命があってね…君が元の世界で迎えたのは肉体の寿命の方だよ。
【時間逆行】で削られるのは魂の寿命なのさ。削られた寿命は僕がどうとでもするから安心していいよ』
この女…もはや女神と呼ぶのもはばかられる…ろくでもねー…
「ところで、なかったことにされたあの人物は誰なんだ?」
―あの男も実は主が関わった転生者です―
おい、ようやく教えてくれたと思ったらまさかの関係者かよ!
あの人物は俺の前任者としてレイの解放のために詳しい知識と有用なチート能力を
あの女から授けられて転生したようだ。
しかし、見ず知らずの転生者のために熱心になることもなく
早々に奴隷遊びを始めるようになったらしい。
それであの人物も放置できなくなったため、俺になかったことにさせ
ついでに後にそうなるかもしれない俺をまとめて処分…
「なぁ?そこの女殴っていいか?」




