序章・転1
俺たちは一旦話を打ち切り、先ほどまでいた薄暗い空間から
明るい空間に移動した。どうやら大主の領域だそうだ。
移動中も移動後も、大主は穏やかな笑顔を絶やさず
女神は絶望的な陰鬱な表情でいた。
白猫は…見てもわからんわ…。
俺?俺は空気に徹することにした。話が全然見えてこないからな。
大主は女神の事情説明を聞きつつ、何やら思案しているようだ。
しばらく後、大主は表情を変えることなく口を開いた。
『つまり君は、無条件付与対象能力の付与を怠り異世界転生を行った事が理由で
転生者の異世界生活を窮地に陥れ、その解決のための異世界転生を敢行し
同時にこの転生者の処分を図り、無報告で済まそうとした…で合ってるかな?』
『間違いありません』
…なんか聞いてるこっちが頭が痛くなってくるほど、とんでもない事態じゃねーか…
このふたりに俺が口をはさむのははばかられるので、アニーに具体的な説明を求める事にした。
アニー曰く、女神はレイに【言語理解】を付与し忘れたまま転生させたために
レイが異世界人とのコミュニケーションをとれず
途方に暮れていたところを例の人買いに連れ去られ、あの男に売りわたされた。
その解決のために、俺をあの男として転生させ、レイの奴隷解放を行うとともに
俺の処分を図った…とのことだが…
(俺の処分ってのはどういう事だ?)
―貴方の転生の際に主が貴方に授けた能力を覚えていますか?―
(【時間逆行】と【過去改ざん】だったか?“時間を遡って過去に転生して過去を改ざんする”ために必要とか…)
―その二つの能力に関してならその通りなのですが…―
そこまでアニーが言いかけたところで大主が言葉を発した。




