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女神(自称)の御業の後始末  作者: ゆんど
第一部・第三章
144/1015

番外 喰神獣と愛玩神獣

「大主様に申し上げます。新種の喰神獣が確認されました」


私は、そんな報告を部下から受けていた。


喰神獣(しょくしんじゅう)とは、その名の通り、

神や神の加護を受けた者達を喰らう、天災級の害獣だ。

この世界で言えば、私やミラ。マナト等が捕食対象となる。


それが自然発生する確率は、

そこら辺に居る三毛猫がオスを産み落とす確率よりも低い。


ちなみにその新種が自然発生する確率は、

そこら辺に居る三毛猫がオスを10連続で産み落とす確率よりも低い。


そんな超低確率の新種が確認されたという報告だ。

本来なら、総力を挙げて捕獲なり駆除なりに動くべき一大事である。


だが、私は特に驚かなかった。


『なるほど、()()ね…そういう見方もできるのか…』


むしろそういう見方をしていなかった、自分自身に驚いたくらいだ。


私が特に驚かなかった理由は、

その『新種の喰神獣』とやらが誕生するまでを、

リアルタイムで【俯瞰】していたからだ。


その上で私は、それを『新種』とは…いや『喰神獣』とすら認識していなかった。

確かに()()を『新種の喰神獣』と呼ぶべきなのかもしれないが、

私としては、『彼』が最初に呟いた『ネコミミRAたん』の方を採用したい。

もっとも彼はすぐに(慌てて)呼称を改めたのだが…


それも、誰も聞いていなかったことを安堵するかのように。


まあ、その辺りは彼を尊重し、そっとしておくとして、

彼になついている『彼女』を、ただの喰神獣として片付けたくはない。


野生のままなら天災級の害獣である喰神獣だが、

実は頭がよく、見た目も可愛らしいという特徴がある。


この特徴を捨ておく道理はない。可愛いは正義だ。


そこで、()()()神獣愛好家が、

『適切な躾を施した喰神獣を()()()()()()()と呼ぶこととし、

 さらに登録して管理下に置き、主従関係を築くことができた場合、

 それを、()()()()と呼ぶこととする』


という喰神獣対策を発案し、発案者が自ら実施したところ、

多くの神獣愛好家が賛同し、

徐々に愛玩神獣を飼い始める者が増えていった。


やがて『愛玩神獣生産者(ブリーダー)』となる者たちも現れはじめ、

気軽に愛玩神獣を手に入れることができるようになり、

現在では多くのご家庭で愛玩神獣を『家族』と呼ぶにまで至っている。


我ながら名案だった。


ただし『愛玩特化改良種が喰神獣そのものである』という事実は、

最高機密に指定されており、

殆どの愛玩神獣の『ご家族』はそんな経緯を秘匿されたまま、

『愛玩神獣のいる生活』を満喫している。


この事実が知られてしまうと、世界の愛玩神獣(ペット)事情は一変し、

神獣虐待をしていたような不届き者に至っては、

恐れを成して愛玩神獣を遺棄してしまい、

それらは野生化して喰神獣に戻ってしまうことだろう。


それを防ぐための事実秘匿と理解して欲しい。


まぁそんな虐待者の事はひとまず置いておくとして、

今はこの『新種』とやらの対処をしなければならない。


『この喰神獣なら彼の愛玩神獣として、私の名前で登録しておいてよ』

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