081 オネーサマは未来志向
「今、また管制部に行けるなら、オネーサマは行きたいか?」
そう問いかけた俺に、オネーサマは行きたいとは答えなかった。
「おねーさんは、管制部に行ける人が現れた時、その人に全てを託すわ」
「託す?」
「このポータル。おねーさんが設置したのと様子が違うのよぉ」
あ、やべっ。作り替えなきゃよかった…
まさかオネーサマが本当の持ち主だったなんて思わな…
いや…真っ先に疑うべきだったかもしれない…
「多分誰かが管制部を操作して、作り替えたんだと思うのよ。それもごく最近」
「オネーサマは、なんでごく最近だと思うんだ?」
作り替えたのがバレるまではしょうがないとして、
時期まではわからないと思うけどな…一応。
「さっき雑魚部屋にいたモンスターが、知り合いに似てるのよ」
へー…ボス部屋以外にそんな雑魚部屋、設置した憶えないんだけどな…
「どんなモンスターだったんだ?」
「なんか猫耳猫しっぽのついた日焼けしたミラちゃんって感じだったわねぇ」
ちょ!…それ、雑魚じゃねぇよ!ボスだよ!むしろラスボスだよ!
…雑魚部屋ってやっぱりボス部屋の事だったか…
しかも俺、間違えずにちゃんとシャドウミラー設定してあったよ…
っていうかシャドウミラーが雑魚って…雑魚って…
設置した俺でも手加減された挙句フルボッコにされそうな難度設定にしたのに…
なるほど、知り合いってボスの元ネタの事か…
「ポータルを作り替えた人が、そのモンスターも設置したんだと思うのよ」
「だからごく最近なのか…」
「その人ならきっとおねーさんよりも上手に巣窟都市を扱えると思うの」
「だからその人に託すと?」
オネーサマは無言でそっと頷いた。
『だからマナトちゃん。おねーさんの代わりに巣窟都市をお願いね』
オネーサマの目がはっきりとそう言っているような気がした。
管制部を操作し、ボスを設定したのが誰か…
オネーサマは確実に気付いている。
だから、ここでわざわざ名乗るのも、名乗らずに巣窟都市を返却するのも
どちらも野暮というものだ。
これは素直に巣窟都市を託されよう。
とある幼女の悲劇の大清算は任せとけ!
しばらくお互いに見つめ合っていたが、
「この遺跡の全権限を管理するマスターに渡すよう町長に伝えておくわ」
と言いながらオネーサマが出口に向かったので、
俺もオネーサマの後を追いかけた。
オネーサマが、全員が遺跡から出たのを確認すると〔物置〕に入れてあった丘で
遺跡を丁寧に埋め戻し、
「雑魚部屋だけじゃなく、稼げる場所もないと野盗はギルド登録しないかも」
と呟きを残して去っていった。
だから雑魚部屋じゃないと何度言えば…
オネーサマから託された以上、いい加減なダンジョン生成はできない。
俺はすぐに管制部に移動することにした。
アニー:いい感じの話に終わってるけど、マナト
オネーサマの年齢とか、いい感じにスルーしたでしょ?
マナト:えーそんなのぜんぜんきにもとめなかったなー。
アニー:マナト眼が泳いでるよ…
マナト:オネーサマにも幼女の時期があった。それでいいじゃん。未来を見よう。
アニー:オネーサマが女に転職したの30年前じゃん
…幼女の時期があるわけないんだよ?
マナト:ならオネーサマは5歳で転職して今は35歳なんだよ。
アニー:大体、《ggrks》が「巣窟都市の前の持ち主は男の子」
って言ってたじゃん。
マナト:なら、オネーサマは別の巣窟都市の話をしてるんだな。
アニー:マナト、無茶苦茶無理があるのわかってて言ってるよね?
ミラ :この際、主とマナトさまのふたりでオネーサマに
直接確認すればよろしいかと。
ふたり:(ミラさま、貴女鬼ですか?そんな怖い事できるかよ!)
アニー:謎は謎のままのがいいんだよ。
マナト:「女神(自称)の御業のちょっといい話」でおわっとこうぜ。
ミラ :出過ぎた事を申しました。




