序章・後3
(おい、元の世界と同じ姿での転生はできないんじゃなかったのか?)
―彼女の場合、【健康な体】を付与するにあたり体自体を構成しましたので元の姿となります―
それができるなら俺にも同じことができたはずだが…いや、考えるのは後だ。
「どうやらお気に召したようですね…」
レイの顔を見ながら考え事をしていた俺の様子を、この男は見とれていたと判断したようで、
満足げに頷きつつ、奴隷の首に巻かれた首輪を示した。
「いつものようになさいますか?それともたまには血を使いますか?」
―この首輪は隷属の首輪で、巻かれた者の意識や感情をコントロールします―
(なるほど。いつものように…とは?)
―首輪に小さなプレートが二つ付いているのがわかりますか?―
言われてちらりと視線を向けると小さなプレートが見えた。
―そこに人買いと貴方が同時に体液を塗ることで奴隷の授受を行います。
体液は血液でも唾液でも構いませんが、その体の人物は指に唾液をつけて行うようです―
(なるほど…)
「いつもの通りでいい」
俺がそう答えると男は、わかりました。と自身の親指をなめた。
俺も男を真似て親指をなめる。
「では始めましょう」
俺はその男と同時に首輪のプレートに親指を押し付けた。
それだけで、授受は完了のようだ。




