7 鍵主
ダンジョンを4階ほど降りた時比較的長い通路に差し掛かる。
「やっと鍵主の部屋か」
ダンジョンには鍵主がいる。5階ごともしくは10階ごとにある程度の強さのモンスターがいる。
このダンジョンは何度か踏破されており15階ほどある。その最初の鍵主の部屋にたどり着いた。
「クロ、お前は知らないだろうがここから先は相当強いモンスターがいる。無理はしないでいいからな」
(知っている 強き 者 )
「知っているのか!?」
(今 硬い 雪)
「スノーゴーレムだろうか?」
「なんでお前が分かるのか知らないが助かった。とりあえず中に入ろう」
大きな扉を開ける。通路には雪が無かったが扉を開けると雪が少し降っている。
「お出ましか」
二メートル程の雪でできたゴーレムがこちらに向かって立ち上がってくる。
「行くぞ!」
掛け声とともに駆け出す。
スノーゴーレムはDランクのモンスターである。しかし、魔法は使えず動きは鈍い。
「オラァアアア!」
剣に油をかけ火をつけた俺は立ち上がっている途中のスノーゴーレムに斬りかかる。
クロは後ろに回り込んで魔法を準備しているようだ。
バァアアン!
そこそこの音量で音が響く。
クロの雷魔法である。クロと出会ってから狩をともにする中で、雪玉ウサギでは無いと気づいた。特殊な個体で同族はいない。便宜上黒玉ウサギと名付けたが、雷の魔法を使う事が出来る。その分噛みつきなどはあまり強くはないようであった。
「まだだ!」
火炎瓶を投げる。
スノーゴーレムはほとんど火に包まれ悶えている。
「一旦引くぞ!」
ホセはクロとともに距離をとってスノーゴーレムが動かなくなるのを待つ。
少ししてからスノーゴーレムは崩れていった。
「クロ助かった。お前の魔法が無ければ時間がかかっていただろう。」
(頑張った)
クロをかかえ、撫でつつスノーゴーレムのいたところへ向かう。
「あった」
鍵が落ちていた。
その鍵を持った途端地面が開き落ちて行く。
「いつ来ても慣れないもんだ」
鍵を手にすると強制的にしたの階に降ろされる。
ここから出るときは魔法を使う。冒険者を目指すものが覚えなくてはいけない魔法だ。これを覚えるところから冒険者は始まる。
ホセはダンジョンを出るための魔法と弱い水魔法を使う。弱いといっても1リットル程の水を作り出し落とす。ウォーターフォールという魔法だ。基本的に相手から注意を逸らす事ぐらいしかできないが、水を作り出せる事はありがたかった。水筒などを持ち歩かなくて済む事で荷物を少なくする事が出来る。
下の階に落ちる。
今までは二、三センチ雪が積もっている程度で雪も降っていなかったが、ここからは五センチ程度の雪が積もっており、今も少しだが雪が降っている。
「行くか」
クロに声をかけ獲物を探す。