6 黒玉ウサギ
「うおおおおおおおおお!」
雪玉ウサギの群れに突撃し、驚いているうちに1匹斬りふせる。
残りの雪玉ウサギが体制を整え飛びかかってくる。一匹の耳を掴み振り回す。
チワワ程の大きさの雪玉ウサギは吹き飛んでいく。
Fクラスのモンスターに遅れをとるようでは生きていけない。大事をとるためにスノーマンからは逃げたがホセはDランクのモンスターと戦った事もある。
結果は左腕を骨折し命からがら逃げたが命あっての物種である。無理はしない。
掴んでいた雪玉ウサギを地面に叩きつけ絶命させる。
「次ィ!」
3匹の雪玉ウサギが向かってくる。
1匹は黒い雪玉ウサギが向き合っている。
2匹を同時に横薙ぎで殺す。
黒い雪玉ウサギを見るとなんとか倒したようだ。
黒い雪玉ウサギは夢中で肉を食べている。そのうちに殺そうとも思ったが、ふとした興味があり眺めていた。
素材を集め終わり黒い雪玉ウサギがこちらを見てくる。
「ん?」
なにか違和感があった。心の奥底に細い管のようなものが繋がった気がした。
「お前、なぜ殺されそうになっていた?」
答えるはずもない。雪玉ウサギは基本的に鳴き声すら無いモンスターだ。だが、なにか分かるような気がした。
(俺 黒い 仲間 いない )
そんな言葉が脳に流れ込んでくる。
「今!?なんだ?」
もう一度黒い雪玉ウサギに視線を合わせ問いかける。
「お前俺と一緒に来るか?」
(俺 行く お前と)
そう声が聞こえた気がした。
「行こう」
そうしてホセは黒い雪玉ウサギを仲間にした。
このようにモンスターと不思議なことに意思を通わせる事は無い事は無い。
実際、ヒポグリフのようなモンスターを運送に使う者や、狼のようなモンスターを狩りに連れて行く事もある。
しかし、その者たちはどのようにして仲間にしたとか、言葉をかわす事が出来るなどと口を滑らせない。自分だけの特許のようなものだ。秘匿し、利益を上げる。
ホセは初めてモンスターと心を通わせる事ができた。
「名前はあるのか?」
(名前 無い)
「じゃあ、クロでいいだろ」
(良い)
そして、ホセはクロと歩き出す。