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二枚の百円の重さ

作者: りょうや

ここは東京駅。京葉線に繋がるこの道には長い長い道がある。この道には人が造り出した動く道がある。自動の道。人はエスカレーターと呼ぶ。そのエスカレーターに乗る二人の女性がいる。一人は田中瑠美(たなかるみ)と言う。瑠美は母性に溢れ色んな人と分け隔てなく接し仲がよかったりする。外見は長い茶髪に緑色のコーディネートが光る。もう一人は高橋恵子(たかはしけいこ)という。恵子は陽気で食いしん坊な面がある。彼女たちは会社の同僚で帰り道が同じで仲がいい。彼女たちは他愛ない話をしていた。彼女たちはエスカレーターを真っ直ぐ進み舞浜方面へと向かっていた。途中で瑠美は自販機を見つけてポケットにあった二百円を投入口に入れる。商品を指差して片目をつむり『これだ!!』と言いながらいちごミルクのボタンを押す。音をたてながらいちごミルクが出てくる。瑠美はいちごミルクを一気に飲む。仕事終わりに自販機で飲み物を選び一気に飲むその瞬間は瑠美を上機嫌にするには充分すぎるらしい。瑠美は満足気な顔で同僚の恵子と駅のホームへ向かう。電車がホームに来る。彼女たちは電車に乗り込む。しかし、人が多く彼女たちは最初分断されてしまった。恵子は溜め息をつく。会社でのストレスを解消するために話がしたかったのに仕方がない。電車のドアに寄りかかれるだけましだと恵子は思いつつドア窓から外を眺める。息を吹き掛けるとドアは曇ってしまう。駅に着く度に彼女たちは互いの方を見るがなかなか電車の混み具合は減らない。電車のドアが開く。人が沢山降りる。瑠美は電車が空いたのを見逃さずに恵子の元へ行く。恵子は『おかえり』と一言。瑠美は『ただいま』と一言。その言葉をきっかけに彼女たちは話し出す。

恵子『凄いよね!東京駅から乗る人は多いね!』

瑠美

『う~ん!そうだね~』

恵子

『でも空いて良かった!』

瑠美

『うん!よかったよ~本当に』

恵子

『今日の仕事は案外楽だったね!』

瑠美

『うん!確かにでも私は初めてやる仕事があった!』

恵子

『へぇ~』

瑠美

『まぁなんとか乗り切ったよ~』

恵子

『良かった!良かった!』

恵子

『……でもさ!私…今日財布を落としたの!それで見つかったは見つかったんだけど…』

瑠美

『…うん』

恵子

『二万円なくなってた!』

瑠美

『えぇ~!?』

恵子

『財布は見つかったらいいけどさぁ!』

瑠美

『う~ん…まぁ』

恵子

『なかなかショックーーー』

恵子は笑っている。

瑠美

『いや…笑い事じゃないよ~』

恵子『もう一つ笑い事じゃないのがさ!この前財布を無くしたばかりなの!』

瑠美

『はい??』

恵子

『お酒で酔っぱらってバスを待つベンチでうっかり寝ちゃったんだ!』

恵子

『そしたら盗まれてた!』

瑠美

『あらら~それはそれは…』

瑠美『災難だね』

恵子

『最悪だよ~るみるみ~』

瑠美

『お~よしよし…泣かないでけいちゃん!』

恵子

『何が悲しいって寝る前に自販機から飲み物買うのに鞄から財布出して手に持っていた!!っていう記憶があることよ!』

瑠美

『やっちゃったね~』

恵子

『笑っておくれ!るみ!!』

瑠美

『………』

瑠美

『実はさ…さっき私知らない人に二百円もらったんだ…』

恵子

『ん!?それはどうして!?』

瑠美

『東京駅に着く前の電車で足元に空き缶が落ちてたんだ………それを私は誰が落としたのか回りを見渡して探したんだけど見つからなくて…邪魔だし…仕方ないから咄嗟に拾っちゃったの…それで…』

恵子『……』

瑠美

『どうしようもなくて…何処かで捨てようと思って…東京駅降りたら自販機の横のごみ箱に捨てたんだ』

瑠美

『それをたまたま見ていたらしいおばあちゃんがね…』

通りがけのおばあちゃん『アンタよく捨てなかったね!ちゃんとごみ箱に捨てるなんて偉い!!ほら…』

瑠美

『私さ戸惑っちゃったよ!』

恵子

『なるほどね!』

恵子

『るみ!凄いよ!それは凄いことだよ!』

恵子

『そのおばあちゃんは感動したんだよ!!』

瑠美

『なら…よかったな~』

恵子

『いい小遣いになったね!!』

瑠美

『そうだね!』

瑠美

『それでさ…』

瑠美と恵子は電車の中で会話に花を咲かせた。電車の中でその話を聞いた人が彼女たちをうるさく思ったかいい話をしていると思ったかそれは誰にもわからない。彼女たちは対照的な経験をしたが瑠美は通りがけのおばあちゃんと恵子が感動してくれたならと嬉しそうに話をするのであった。


たまには些細なところに目を配り少しの思いやりの行動をしてみるのも悪くないのではないだろうか?


おわり

どうも!ほのぼの空間を楽しんでくれたらうれしいです!読んでくれてありがとうございます!

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