795話 デスマーチの足音
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何と勘違いしていたのか、大佐式ではなく軍曹式にしました。
俺たちが仕事に追われ忙しくしていたが、新人達が使い物になるようになったという事で、その仕事から解放されて4日が過ぎた。大仕事を終わらせて帰ってきた土木組を街の入口で迎えていた。一応、この子たちの事は伝えていたが、街の入口で止められるのは分かっていたのでここに来ている。
「「「「「あ! シュウ様だ!」」」」」
俺に気付いた土木組が、シャドウウルフやシルバーウルフにまたがって、俺の方へ駆け寄ってきた。この子たちに与えていた従魔とは、仲がよさそうで良かった。と言うか、ウルフ専用の鞍も作って、地上を移動する時はいつも一緒らしい。
てっきり馬車だと思ってたのに、俺たちで言うウォーホース的な扱いなのだろうか? 俺たちと移動する時は、いつも馬車だったから気がつかなかったな。
野営する時も、俺たちに近いレベルの装備を準備してるからな。簡単に言えば、儲かっているお金を使ってグリエルとガリアが、本人たちの安全や健康の面を気遣って準備していたのだ。もちろん、本人たちの了承を得て、割安の値段で酒飲み老ドワーフに作らせたらしい。
知らない所で色々あるんだな~。
土木組と合流した俺は、土木組のメンバーがしてきた仕事の内容の報告を受け、報告書として一緒にまとめる。この子たちは、勉強はできるが比重が魔法に偏っており、こういった事務作業が苦手なのだ。
グリエルたちもしっかりと教えているようだが、やはりうまくまとめられないでいるようだった。なので、今回は俺や妻たちが協力して報告書を作っている。
土木組のする作業には設計図が無いので、報告書といった形で何をどう行ったかを書くだけなのだが、全員が天才肌なのか感覚的に魔法を使っているので、どういった魔法を使って対処しているとかを上手く言葉にできないのが、報告書を書くのに問題らしい。
イメージを言葉にするのは難しい事もあるからな。例えば、洞窟が崩落するのは脆かったりする事もあるが、きちんと補強をされていないという事もあるので、その補強を魔法でどうやったのかを説明できないって感じだろう。
そういえば、この世界には報告書のフォーマットみたいなのは無いのだろうか?
それがあれば、ただの文章だけの報告書より見やすい気がするんだけどな……何の報告書なのか、提出した日付、所属、書いた人の名前、日時、主題、内容、みたいな感じで分ければ分かりやすいだろうしな。後は、分類別に分けておけばもっといいだろう。
「という事でガリア、そう言った感じのものは無いのか?」
「言われてみると、そういうのがあると便利ですね。そもそも、羊皮紙のような高価な物しかないなかで、細かい報告書なんてお金の無駄ですからね。ディストピアでもなければ、湯水のように使えないですよ。そう言った物を考える人があらわれないわけで、浸透もしていないですね」
「やっぱり、無いんだ。じゃぁ作ろう! グリエルやゼニスにも意見を聞いて作らないとな。ガリアが落ち着いたら作ろう。パソコンを使えばすぐだしな。簡単な物は作っておくから、それをたたき台にでもして話し合おう。ガリア、頑張ってくれよな!」
この国の事はガリアに任せて、魔導列車に乗り込みディストピアに帰る事にした。王城って今は、王城じゃなくなったんだったな。領主館っていうのも変だから、まぁ役所みたいなもんだから、役所にしておくか。
役所に関しては、ドワーフが希望を聞いて急ピッチで作り変えているようなので、俺たちが王城に留まると邪魔という事もあったので、さっさと帰る事にしたのだ。
1日かけてディストピアに到着した後、その足でグリエルの執務室へ向かい、今回の事を報告した。ついでに報告書について聞いてみると、便利だと思ったようで、ぜひ作りましょう! と前のめりで賛成してくれた。
年中組と年長組、姉御組は、そのまま自分の職場に戻って様子を見に行くようだ。暇になったので、年少組と土木組と一緒に行動する事になったが、しばらく行けて無かったとの事で、とある場所に向かっていた。
「で、何でここに来てるんだ?」
「私たちは、ここで訓練しているんです!」
と土木組の子が答えてくれた。俺たちが今来ている場所は、レイリーのいる訓練所だ。ちょっと違うか? レイリーが管理している兵士たちの訓練場と言うべきか。
「レイリー、そうなのか?」
「そうですね。仕事が忙しい時はあまり来られませんが、時間がある時はよく来られていますね。兵士たちにまじって訓練をしていますよ。魔法に才能が偏っていると思っていましたが、筋がいいのでついつい鍛えてしまいまして、兵士でも勝てるも者が減ってしまっているんですよ」
「それは、ステータスの関係も含めって事だよな?」
「もちろんそうですね。多分同じレベルであれば、全体の8割くらいは勝てると思います」
「え? 同じレベルでも2割が負けるの? それって兵士としてどうなんだ?」
「シュウ様、身近な存在過ぎてお忘れかもしれませんが、この子たちがこの街に来てから魔法や戦闘方法を憶えてはいますが、ダンジョンで1から訓練しているのですから、それだけ強くてもおかしくないですよ。ここの兵士は、今はダンジョンの訓練所で鍛えていますが、戦ったことも無い兵士も多いのですから」
「それって、ダンジョンで経験を積むと強くなりやすいっていうあれ?」
「そうですね。なので、この子たちが強いのは当たり前なんですよ」
そんなもんなのだろうか? 俺にはよくわからないが、
「兵士はそれでいいのか? 負けて悔しくないの?」
「悔しがってはいますが、どうにもならない才能の差も存在しますので」
「才能で片付けるのはよくないだろ。よし! 今から、この街を守る兵士は軍人とする! それで、軍曹式軍事訓練をして、屈強な軍人になってもらう事にしよう! 途中でリタイアした物は、軍人じゃなく一般の兵士に戻るというのはどうかな?」
「軍事訓練ですか? 軍人とは、精鋭の兵士みたいなものという認識でよろしいですか?」
「あれ? 軍とか軍隊って言葉があるのに、軍人って言葉は無かったっけ? 誰かとつかってたような気もするけど気のせいか?」
「軍に所属するのは、兵士や騎士だけですから軍人って言葉は、あまり使わないのですがなんとなく意味は分かりますが、詳しくはわからないので質問しました」
「ん~そうなのか、まぁいいや、軍人の定義はこの際どうでもいいけど、厳しい訓練をしてそれを乗り越えられたものを、兵士や騎士とは違って軍人と呼ぶことにしよう! いわゆる、ディストピアではエリートだ!」
「そういわれると、分かりやすいかもしれませんね。まずは志願者を募ってやってみますか?」
「そうだな。強制するよりは、やる気のある人で実験的な感じでやってみようか」
こうして、意味があるか不明な軍事訓練が開始されることになった。
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