732話 マジかよ……
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結局141階では、最初に遭遇したあの堕天使以外の魔物に会う事はなかった。たまたま合わなかったのか、本当にあいつら以外いなかったのか気になるが、考えてもしょうがないと判断して、142階へ進んでいく。もちろん進んでいる途中も、ウィスプによる偵察を行っている。
142階に到着して1つ目の部屋に奴らはいた。階段付近から偵察するようにウィスプを飛ばして、やっと見つけたと思っていいのだろうか? そこには、141階の1つ目の部屋にいた堕天使たちと同じで、大きなシルエット1つと小さなシルエット3つが部屋の中にたたずんでいた。
「同じ堕天使の数だけど、明らかに違うよね?」
他にも近く共有しているメンバーに尋ねる。
「そうですね、141階にいた堕天使の数と一緒ですが、装備が違いますね。上にいた小さいほうの堕天使は、万能型みたいなイメージがありましたが、この階の小さいのは明らかに、遠距離に特化しているイメージですね」
そうなのだ。3体が弓をすでにスタンバイしており、接近された時のためか腰の右サイドに、レイピアの様な細身の剣が帯剣されており、左サイドに杖が帯杖をしていた。そしている位置が、大きい堕天使の後ろに配置されているような形なのだ。
「デカい方は、どう見ても近接タイプだよな? 上の階の堕天使と同じサイズだとすれば、刀身が3メートルくらいある剣が2本だな。盾が無いって事は、二刀流の可能性もあるって事か? 戦い方が変わるのは止めてほしいな。141階以降は堕天使の種類自体が、トラップみたいなもんか?」
ウィスプから得られた情報を元に、みんなで相談していく。基本戦術は変わらず、【浸透頸】を中心にダメージを蓄積していく方針だ。
問題なのは相手のフォーメーションなのだが、今回の堕天使の数からすると、中心で大きい堕天使が暴れて、小さい堕天使が自由に動いて弓や魔法、レイピアで遊撃みたいなことをする感じかな?
もう1つあるとすれば、上の階と一緒で部屋の隅に陣取って、二刀流で小さい堕天使に近づかせないようにして、3体の堕天使の怒涛の遠距離攻撃ってところだろうか?
前者なら俺たちは苦労せずに堕天使を分断することができて、後者なら分断は無理だと考え順番で倒していくしかないと判断した。
「よし、みんな。戦闘準備は大丈夫かな? 馬車は念のためこの場に待機。戦闘開始は、全員1ヵ所に固まって全員で防御を固めて、しばらく相手の出方を見て、状況に応じて対応しよう。前面は俺とシュリ、両サイドはリリーとシャロットが担当してくれ。他のメンバーは一応、結界を張って防御を手伝ってくれ」
準備が整ったので、通路を速足で進んでいく。部屋に入ると、堕天使達はすでに戦闘態勢に入っていた。大きい堕天使も小さい堕天使も、上の階と一緒で6メートルと3メートル位のサイズだった。
言葉もなく、部屋に入ると同時にみんなが連携して防御態勢をとった。
しばらく様子を見ているのか、堕天使が遠巻きに様子を見ている感じだ。2~3分すると、小さい堕天使が部屋の中心から離れて俺たちに矢を放ってきた。矢筒も持っていないのに矢はどっから?
【フォートレス】や結界の魔法で防御をしながら、小さい堕天使の様子を観察する。矢を持たずに弓をひくと、物質が生み出されたというべきだろうか? いつの間にか矢がつがえられており、そのまま放ってくる。
「矢は、マジックアイテムみたいなもんかな? 弾切れは無いと思ったほうがいいな。本当になんでもありな気がしてきたぜ。尽きる事のない魔力に矢か……武器に関しては壊れる気配もなかったのに、堕天使の一部みたいで倒した後消えちゃったからな。
様子見はこの辺で終わりにしよう。このパターンは、一番可能性の高いと想定していた、中心でデカいのが暴れて小さいのが遊撃ってところだろう。そんな感じで対応しよう。デカいのはシュリたちに頼む。もし予定と違う行動を取ったら、いったん集まろう」
指示を飛ばして、後はチームに任せて戦闘を開始する。
小さい堕天使は、上の階の小さい堕天使に比べると……速かった。だが、捕らえられない速度ではなかった。
「みんなは固まって行動して、俺のサポートをしてくれ。何とかして隅に追い詰めるから、そこからたたみかけよう」
俺は、自分に割り与えられた堕天使の動きを観察する。もちろん俺に注意をひきつけるために、神歩で近付いて【シールドバッシュ】等で、吹っ飛ばしながら位置を調整していく。
俺の思った通りに行くわけはないよな。もちろん攻撃に慣れてきて回避されることも増えてきて、反対に反撃をし始めてきた。攻撃で位置を調整できないなら、立ち位置で追い詰めていくしかないよな。
ただの位置取りでは、逃げてほしい方に逃げてくれないので、逃げてほしい方に誘導するために、ミリーにも前に出てもらい2人で誘導する。そうしていると、堕天使が音の様なものを発声した。
よくわからないが、嫌な感じがする。それでもミリーと一緒に堕天使を追い詰めていると、後ろから声が上がった。
「避けて!!!」
何のことか俺は誰も理解できていなかったが、自分の嫌な感じに従って行動を起こす。それは、ミリーの方から感じていたので、そこだと判断して神歩移動してミリーを引き倒す。その直後に壁で音がした。他の2体の堕天使のどちらかが、放ったであろう矢が砕けていた。
「あぶねえ。小さい堕天使が散らばってるのはそういう事か。離れてても援護ができる。上は近接だから固まってフォローしてたし。面倒な奴らだな。周りにも注意しないといけないのか、初めからわかってたけどこれは、本当に面倒だな」
一旦引いて作戦を立て直したいが、今の状態で引くと他のチームに迷惑がかかる。それなら他のチームに攻撃させないために、攻撃を仕掛ける方がいい。
「みんな、隅に追い詰めないでこの場で叩こう。多分だけど、どの堕天使でも追い詰められたら、他の堕天使が援護すると思うから気を付けていこう」
全員が堕天使を囲い始めて攻撃を開始した。もちろん手装備は手甲による【浸透勁】が中心だった。盾の代わりもつとめる優秀な手甲を使っての攻防をしている。
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