720話 ベヒモスとの再戦
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目が覚めた。昨日もみんなで仲良く寝ていたのだが、妻たちは全員起きているようだ。俺が一番最後じゃなかった。体が重いと思ったら、いつもみたいにハクやスライムが俺にまとわりついており、寝ていた。スライムが寝るのか知らないけどな!
単細胞のアメーバと同類のはずなのに、無駄に賢いしなんなんだろうな? 細胞全部が脳神経みたいなもんかな? そしたら普通のスライムも頭いい事になっちまうな。
どうでもいい事を考えながら、スライムを鷲掴みにして扉の方へ投げていく。ハクは投げられる前に退避したようで、今はパタパタ飛んでいた。羽ばたいているのに風がこっちに来ないっていうのは、やっぱりファンタジーだな。
ウォーホースが移動する時に風魔法で、周りの空気を操っているのと同じことをしているんだろうな。ベッドから降りると、俺の胸に飛び込んできて定位置におさまった。
特に変わった事もなく美味しい朝ご飯を食べて、出発の準備を始める。俺はレミーを呼んでちょっとお話しをする。
「レミー、絶対に守ってやるから気にせず、出来る事をすればいいよ。自分だけで何とかしようと思って無理はしないように。みんなで負担を分け合うのがチームだよ」
そう言いながら、レミーの頭に手を置き優しくなでる。
「よし、準備できたみたいだし出発しようか。隊列は昨日のまま、出現する魔物が昨日と同じか分からないから、人造ゴーレムは今まで通り4チームに分かれて、ベヒモスが複数沸いたら1チームずつ当たってくれ、今回も各個撃破でいくよ。じゃぁ出発!」
レミーはちょっと緊張している様子が見られるが、悪い緊張ではなく、集中している感じがうかがえる。もし体が硬くなりすぎるようなら、戦闘前にちょっとくすぐってみるか? 今の様子なら問題ないけど、この先はどうなるか分からないからな。
軽くストレッチをしながら、通路を進む事10分はかかってないだろう。索敵の範囲内に予想通り4体の魔物の気配を察知する。それと同時に斥候組はアイコンタクトをして確認をとってきた。
「さぁ、最初の敵がきたよ。スケルトン、人造ゴーレム、先行しろ!」
俺の指示と同時に、弓から矢が放たれるかの如く駆け出して行った。俺たちもその後について走って追いかけていった。姉御組と従魔は、馬車の護衛について後から追いかけてくる。
「ん~やっぱり魔物の種類は、バフォメット・アークデーモン・ハイデビル・ベヒモスか……現れる魔物をランダムにすると何かあるんかな? それともランダム設定ができないとか? そもそもダンジョンにそんな設定ができるのか?」
「ご主人様! そんなこと考えている場合じゃないですよ! まずは魔物を殲滅してからです」
おっと、1回倒してるためか変な事を考えてしまっていたな。
「昨日の話し合いの通りに1体ずつ倒していこう。ベヒモスは最後に倒すように、おそらくあの電撃は1体になって、時間制限か体力の割合とかの発動条件を満たした時に、発動されるスキルみたいなものだろうから、みんな注意は怠らないように」
特に問題なく3匹の殲滅が完了した。
「ベヒモスからはまだあの攻撃は来てないな。時間で来るにしても、体力の割合にしてもまだ来てないか……ゲーム的に言えば、ボスのHPが何割かに減った時に起こる、バーサーク状態とかそういったあれだろうから、攻撃を始めたら気を付けるように。角に注意して倒そうか」
俺達は前後左右に配置して攻撃を開始する。正面は人造ゴーレムからターゲットを奪ったスケルトンのタンクが、2体陣取っている。こいつらは前回まともに攻撃受けてたっけ? どうだったっけな? 覚えてないから気にしてもしょうがないな。
俺たちは次々とベヒモスに攻撃を仕掛ける。スキルなしで攻撃すると、あまりダメージを与えられないので、スキルを単発やスキルリンクを使ってダメージを蓄積していく。しばらくすると、角が帯電し始めた。
「全員防御態勢! レミー、落ち着いてやればできるよ。それに何かあっても俺が守ってやるから安心しろ。自分ができる範囲でやればいい。前に行くよ。【フォートレス】」
みんなの前に出て俺はスキルを発動した。他のパーティーはシュリとリリーが【フォートレス】を張っているな。スケルトンは、タンク2体で【フォートレス】使ってるのか。
あいつらは結界覚えてないから、魔力を使って障壁みたいなのを張ってるな。Sランク相当のスケルトンの【フォートレス】に、アークデーモン以上の障壁なら問題ないか?
入口の馬車は……あれ? ヤバくね? 従魔たちがダマを前に押し出して遊んでやがる。そんな事してる場合じゃねえだろ! お前ら攻撃がくるんだぞ! あ、ダマが観念したのか自分から前に進んできた。大丈夫なのか? 体を元のサイズに戻すと大きく一鳴きして、自分の前に障壁を張った……
お前ってそんな事出来たんだな。と言うよりか、存在感が薄くてお前が来てる事忘れてたよ。あ、姉御組の3人が結界を張ったな。そしてブラウニー、お前らはなんでワクワクした顔をしてる! もっと緊張感を持て!
はっ! イカンイカン。ベヒモスが攻撃態勢に入ってるんだから、気をそらしちゃいけない。気合を入れなおして、ベヒモスの攻撃に備える。レミーも落ち着いて結界を張ったな。俺は声を張り上げて、
「みんな、目を閉じてかばえ!」
あの光は目を閉じただけじゃ、瞼を越して目を焼いてくるので、さらに手でかばう必要があるのだ。遮光結界がどれだけ効果を出すか分からないので、そういう対策をとっている。
俺は盾を顔の前に持ってきて、かばうようにしている。敵が見えなくなるが、全力で張ってる【フォートレス】を食い破られる事はないので問題はないだろう。前回のように5分程視力が戻らなかった時の方がやばいからな。
次の瞬間、光が部屋を蹂躙する。視界は問題ないな。俺の【フォートレス】が攻撃を防いだ感じがない事からすると、レミーの結界で全部しのぎ切ったようだな。後で頭をなでてやろう。
「みんな大丈夫か?」
誰も問題はなさそう……問題があった。従魔たちがコントのごとく目をおさえていた。それよりスライムたち、お前らに目はないだろ! それに器用に触手を使って器用に、目をかばうような仕草までしてやがる! もっと緊張感もてよ!
あいつらは放っておいても、大丈夫だろう。それより反撃だな。
「みんな、一応角に注意しつつサイド攻撃開始!」
程なくしてベヒモスは倒れた。
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