706話 なんか疲れたな
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メデューサの時と同様に空飛び蛇も突然ドロップ品になってしまった。
「どういうことだと思う?」
答えが返ってくると思ってなかったが意外な所から答えが返ってきた。
「ご主人様。この空飛び蛇は体には、アンカーをいっぱい打ち込まれてたよ! 体をひねったりして痛がってた。刺さってたアンカーが、体にダメージを与えていたんじゃないかな?」
イリアから持たされた答えだった。戦闘の最初から空飛び蛇の様子を見ていた、イリアからの答えだ。物理的に考えても、その可能性が高かったので納得した。みんなも頷いているため、その可能性が一番高いと思われる。
「何か変な終わり方だったけど、何とか倒せたね」
「そうですね。能力的には大して強くありませんでしたが、特殊能力が厄介なだけでした。後は体力が高すぎると思いました。何度も戦いたい相手ではありませんね」
俺たちは同意するように、みんなで深く深く頷いた。なんていうかもっと大変な戦闘はあったけど、今回は特別疲れた気がする。まだ時間があるが、これ以上進むのは面倒だったので、76階に続く階段の前で野営をすることにした。
ダンジョンのボスは、強さによっ復活する時間が変わってくるので、1日2日のんびりとしても問題はないので、ボスの部屋でゆっくりする事にしたのだ。そして今夜は俺もみんなも大好きバーベキューに決まったので、みんなで準備中だ。
「毎日シルキーたちの美味しいご飯を食べてるのに、バーベキューとなると何か違うんだよな。何て言えばいいんだろうか? まぁ美味しいからどっちでもいいか」
バーベキューでダンジョンに入ってから荒んでいた心が、洗い流される感じがした。やっぱりディストピアでのんびりと過ごしてるのが、俺にあってる気がするんだよな。チビ神の依頼じゃなければ……
「あーーーっ!!!」
「ご主人様!? どうなさいましたか? 何か足りませんでした?」
俺が急に大きな声を出してしまったため、みんながびっくりしてしまった。俺がなんで急に大きな声を出してしまったかを説明する。
そもそも何でこのダンジョンに来たのかを忘れていた事を伝え、ここに入って攻略できなくても一定時間ダンジョンで過ごせば、Sランクの魔石を召喚できるようになる事を思い出したから、急に声を出してしまったとみんなに伝えた。
神のダンジョンに突入した時はみんなも覚えていたが、神のダンジョンを進むにつれて覚えているメンバーがいなくなり、75階のボスを倒し終わった時には誰も覚えておらず、俺の発言を聞いて「あ~っ!」とみんな思い出していた。
話した後に気になったので召喚リストを見てみると……Sランクの魔石が召喚できるようになっていた。みんなにそれを伝えて、研究していた回復魔法に使えないか試してみたが、やはり全自動で使う事は出来なかった。
この段階で俺はどんなに頑張っても、魔核だけで自動的に魔法を使う事ができないと判断して、それに関する魔導具の研究は止める事にした。
Sランクの魔石が召喚できるようになったので、持ち込んでいた人造ゴーレムを取り出して、Sランクの魔石を魔核化して埋め込む事にした。
ご飯を食べた後にみんながお風呂に入ったので、その間にのんびりと作業を進めている。魔力を生み出す魔核と、行動や学習機能の魔核を準備して情報を移し替えセットしていく。
今まで魔石の大きさに言及したことはなかったが、この世界の魔石は大きくても拳サイズの大きさくらいしかない。何が違うかと言われたら俺にはよくわからないが、USメモリーみたいな物ではないかと俺は考えている。
覚えられる容量が全く違うのに大きさは同じ、細かい事はわからないが違いがあるという事で、そんな感じだろうと勝手に考えている。
Aランクの魔石で作った時と比べると、出力が4倍以上になっていた。
「ん~Sランクの魔石のDPを考えると、もっと出力があってもいいと思うんだけど……さすがにそこまで大幅な強化にはならないか? そもそも魔石って魔物の中で、どういうものなんだろうな? 魔石の等級が高ければ、人造ゴーレムみたいに出力が高くなる? 力や魔力、体力とかが高くなるのかな?」
よくわかっていない事をつぶやきながら、情報を頭の中でまとめていく。答えが出るわけじゃないが、なんとなく頭の中を整理しないと気持ち悪いので、こういう事をしているのだ。
「ご主人様~お風呂いただきました……あっ! 人造ゴーレムが動いてる! もう修理したの?」
「そうだよネル。ちょっと時間が空いたから、戦力になる人造ゴーレムを修理しておいたんだよ。スケルトンたちも強いけど、あいつらは使い捨てをしたくないからね。人造ゴーレムならいくらでも作り直せるからね。
みんながお風呂から上がったみたいだから、俺もお風呂に入ってくるかな。一応自己チェックできるようになってるけど、少しだけ様子を見ておいてくれ。問題なさそうなら先に寝ていいから。よろしく」
そういって俺はお風呂に向かう。
さすがお風呂! 気持ちいいな。それにしてもエリクサーを飲んで治療したとはいえ、金属を溶かす酸をくらったのに、少し斑に黒ずんでるだけなんだからファンタジー世界って怖いな……それともチビ神に改造してもらった体のおかげか?
レベルが300を超えていれば、あの溶解毒でも死なずにある程度耐える事ができるので、レベル制ファンタジーのおかげという事だろう。
帝国の兵士たちがここを攻略できたのも、危なくなったら撤退ができる事、レベルさえ上がっていれば毒に耐えれること、対策をとっていれば何とかなるという事で、この先に進む事が出来ていたようだ。
だが、帝国の兵士たちがここの2匹の魔物を倒すのに、2~3日かけて100人規模で倒していたことを考えると、シュウたちの攻撃力は異常といってもおかしくはないだろう。
「それにしても、この先どうするか? 戦闘的には大したこと無かったんだけど、特殊能力がやらしかったな。みんなと相談して進むか引くか決めるか? 勢いで76階の階段まで来ちゃってるけど、戻るなら階段をあがって行けば、問題ないから大丈夫か? そろそろ上がるか」
一緒に入っていたスライムたちの体も拭いてやり、着替えて寝室に向かうと、俺の来るのを待っていたようで、パジャマパーティーの様な事をしていた。
30畳くらいある規格外のベッドまで準備されていたのでびっくりしたが、今日はみんなで一緒に寝ようという事らしい。それにしてもみんなで服をめくって、体を確認するのは止めてくれ……妻たちとは言え恥ずかしいだろ!
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