701話 雰囲気が変わった
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ブラウニーたちが笑い転げていた50階を抜けて進んでいく。
51階に入ると少し様子が変わった。1階から50階のダンジョンの見た目とたいして変わらないのだが、見た目が同じだからと言って、雰囲気が同じかというとそうではなかった。
何と言っていいのか、まがまがしい雰囲気に、変わっているとでもいえばいいのだろうか? 瘴気のような紫色の靄が視界全体にかかっているのだ。
瘴気が紫だと思うのはシュウの偏見なのだが、今回はそれが一番正しい表現と言っていいだろう。
マップ先生を使って自分たちに悪影響がないか確認していくが、瘴気と称した紫色の靄を吸い込んだところで、状態異常になる事は無かった。
全員で確認してみるが、異常が現れる事はなく現状問題はないと判断して進んでいく。10階毎のダメージトラップとは違い、状態異常のフロアなどがあった場合は、ダンジョンの方が有利になりすぎるので、魔物のいるフロアでそれはないだろうとも考えている。
例えば、毒のトラップはあるが、フロア全体が毒にかかるタイプは今の所ない。その場合毒に強い魔物をそのフロアに配置しておけば、それだけで魔物が有利になってしまう。
ダンマスの能力は無茶苦茶だと思っていたが、こういった一方的にダンジョン側が有利になる設定はできないようだった。
海のダンジョンや水没しているダンジョンはどうなんだろうと思ったが、あれは一方的な有利とは見られずに、水没させるためにはある程度のルールが存在していることが分かった。
入口が水の中に無いと、ダンジョン全体を水没させれないというものだった。入口が水の中に無く水没させようとすると、ダンジョンが水を吸収してしまうようだった。
水源自体は作る事ができるので、すべてがすべて吸収されるわけでは無い様だ。それの逆でダンジョンの入口が水中にあるダンジョンのすべてを、空気で満たすこともできなかった。
ダンジョンは完璧な密閉空間なのに、生物が生活するのに最適な空気の成分になっているため、煮炊きもダンジョン内で問題なくできるのだ。水中ダンジョンの一部を空気で満たすことはできても、全体を空気で満たすことはできなかった。
そう考えると、ダンジョンバトルの時にいたダゴンって、規格外の能力の魔物だったんだな。それにしても戦闘力もそれなりにあったけど、今考えると特殊能力だけでもSランク相当の力があったきがするな。
俺の魔物の中にも水中にも対応できる魔物がいて、その上に強化できてなかったら負けてたかもしれないな……あいつのいるダンジョンを生身でクリアできる気がしねえな。倒せる倒せない以前に、まず近寄ったら溺死するからな……
あれはダンジョンバトルだったし、あれに負けたからって特に何もないんだけどな。
それと51階に入ってしばらく進むと、今までの階に無かった変化があった。魔物の種類が変化したのだ。魔導具の構想を練りながら、たまに戦闘の様子を見てて気付いた。
「それにしても、悪魔系の魔物ばっかになったな。それに大分強くなってる気がするけど、みんなはどう感じてるかな?」
みんなも強くなってきたと、感じているようだ。魔物との戦闘時間が明らかに伸びてきたので、間違いないだろう。だからと言って苦戦するほど、強くなっていない。
魔物の種類は悪魔系といったように、インプを始め、レッサーデーモン、ミニデビル、ミニバフォメット、インキュバス、サキュバス、エキドナ、ケルベロス等々、いろんな神話に出てくるような魔物を、デフォルメしたような魔物が出てきている。
名前はあっているか知らないが、なんとなく雰囲気で名付けてみた。
「ここまで徹底して悪魔系が出てくるって事は、50階までは表ダンジョンとでも呼んで、ここからが本当の神のダンジョンとでもいう感じかな?」
なんとなく国民的RPGのドラ〇エみたいな発想で、モノを言ってしまった。同じように感じたのか、他のメンバーもウンウンと頷いてくれているので、俺の発言もあながち間違ってはいなかった。
それともう1つ大きな変化があった。それは、スキルや魔法を使ってくる回数が明らかに増えて来ていたのだ。しっかりと防ぐか回避するかをしないと、結構なダメージを受けてしまうだろう攻撃も少なくなかった。
それでもまだ格下なので問題ありませんと、全員が言うのだ。それにしても、みんな強くなったな。
俺はちょっと現実逃避をしていた。
敵が強くなったが、特に問題なく進んでいく。シェリルとネルは、聖拳を使って討伐しており、他のメンバーも武器を変えて、聖銀を使った武器に持ち替えていた。
聖銀の武器は、悪魔系の魔物に対しても効果を発揮するため、余裕をもって倒している。強くなっているはずなのに、それを微塵も感じさせていない。
移動のペースは上の50階までとは変わらず、同じペースで進んでいる。殲滅の速度は多少遅くなっているが、もともと移動の方に時間がかかっていたので、誤差の範囲で進む事が出来ている。
「やっぱりうまくいかないな。魔石をクリエイトゴーレムで魔核に変える時に容量が足りてないのか、そもそも記入ができないのか分からない。回復魔法を自動で使ってくれる魔導具は、作れないな……」
「ご主人様! 今の話を聞いていて気になったのですが、1つお聞きしていいですか?」
「ん? ライムか、何か変だった?」
「いえ、変だったと言いますか、クリエイトゴーレムで作ったゴーレムは、魔法を使えましたっけ? クリエイトゴーレムで作った魔核と、杖をあわせて魔法を増幅するような事はあったと思いますが、自動で魔法を使う事は出来なかったと思いますが?」
「そういえば、自動で魔法やスキルを使わせることはできなかったな。となると、自動という部分が魔核化する時に、邪魔してるってことか?」
ライムからもらったヒントを元に、継続的に回復する【リジェネレイト】の魔法を魔核に書き込んでいく。初めはCランクの魔核を使ったが、全く容量が足りない感じがしたので、Aランクの魔核を取り出し書き込む。
Aランクでも品質が高い物を使って、やっと書き込むことができた。
「Aランクの魔核でも上位の物で、やっと書き込むことができたか。でもこれだと、ずっと魔力を注ぎ続けないといけないんだよな。それなら、魔力を供給する魔核を作って連結させれば!」
しばらくあーでもこーでもないと格闘してみたが、自動で発動する事は出来なかった。
「やっぱり魔法を自動で発動するっていうのは、無理っぽいな……じゃぁ、魔力をためるタンクを作って、その魔力を使って発動するっていうのはどうだ?」
リジェネレイトを使う事ができる魔核と、魔力供給の魔核を分離させ魔力を蓄えて置ける魔核に付け替えて、そこに魔力供給の魔核を繋げてみたが、リジェネレイトを発動させられなかった。
「やっぱり自動は無理か、ここに魔力を注ぐのであれば、タンクの魔力を使って問題なく発動するっぽいな。改良の余地はあるけど、今回はこれだけできれば十分だろう。みんなの分を作ってしまうか」
魔力を消費するが、それだけで魔導具が作れるんだから十分だよな。頑張ろう!
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