694話 ゴーストタウンの進化
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ガリアからダンジョンを作ってほしい、拡張してほしいと言われてから二日が経つと、準備が整ったと連絡が入り、指定の場所に入り口を作って、ダンジョンを作成することになった。
ダンジョンの入り口は、街の中心地から少し離れている場所にあった、資材置き場という設定だ。資材を他の場所に移す最中に、地下への入り口を発見する……という流れだとの事。
悪くない設定だろうか? ゴーストタウンはダンジョンの一部であるため、基本的に綺麗に整地されているので、邪魔な岩とかがない。なので、岩を退かしたら入り口が見つかった、という事にはできなかったのだ。
他にも街の整備が進むにつれて、倒壊していた家も綺麗に撤去されてしまい、瓦礫の下からという事も難しくなっている。今回は、ゴーストタウンが見つかった当初から、資材置き場になっていたところに入り口を作る事になった。
入り口の場所が分かったので、農園となるダンジョンを作り設定をいじり始めたが、ふと思う事があった。普通に考えて、ゴーストタウンと同じサイズの農園を作って、全員分の食事を賄えるのだろうか? という疑問に突き当たった。
いくら食材をドロップするダンジョンを作るとはいえ、数万人規模の街を維持できるとは思わない。フレデリクやリーファス、ジャルジャンにリブロフも、街の規模の数倍の農地が街の近くにあるのだから、街のサイズより大きい農地は必須だろう。
気になったのでガリアに聞いてみると、そこらへんは問題ないと言われてしまった。疑問に思っていると、クツクツとガリアの笑う声が、魔導無線から聞こえてきた。
『シュウ様。よく考えてください。ゴーストタウンの広さをお考え下さい。そこの全域に人が住んでいたら、住人は数万人ではすみませんよ? もし住んでいたと仮定すると、数十万人は軽く住めるくらいの広さはあります。
それに輸入は八割位だと言いましたよね? 残りの二割は、何処からきていると思いますか? 分かっていただけましたか。ゴーストタウンにも、他の街と一緒で農地があるんですよ。シュウ様は、ゴーストタウンが出来てから、外縁部に行かれてませんよね? だから知らなかっただけですよ」
と言われた。マップ先生には、農地は普通の地面みたいに表示されるため、俺にはそこから判断することはできないのだ。あれだけ広いゴーストタウン全域に、人が住んでれば数万人では済まないのは明白だった。農園の入り口は、大きな柱を中心に螺旋階段のように降りる形で作った。
農地になる場所は、天気が自動で山の外と同じようになる様に設定している。ダンジョンの中に、太陽の光も差し込んでくる謎仕様だ。それに長年放置されて、雑草まみれになった風に作成している。
余計な詮索はあると思うが、無駄につつかれるような何かを残すのは、やめようと考えたためだ。長年放置された農地みたいになって居れば、ゴーストタウンが正常に運営されていた時にあった、農地と言えなくもない。
色々弄った後に、肉や野菜などをドロップするダンジョンを、ディストピアから見て反対側の壁付近に入り口を作り、ランダムダンジョン作製を行った。農園の入り口はゴーストタウンの中心と、食料ダンジョンの入り口の、中間あたりに存在している。
他にも、もしかしたらダンジョンを増やすかもしれないので、大きな岩石をいくつか不自然に設置しておいている。簡単に壊せないように、クリエイトゴーレムを使って魔核まで埋め込み、修復するようにしている。
完成した所で、ガリアやグリエル、農業の担当の人間を別の入り口から案内して、簡単に状況を説明している。
「シュウ様、本当にありがとうございます!」
ガリアが俺に頭を下げてきた。
「それはいいよ。だって俺の街なんだし、何かをしてあげないとね。それより、長い時間放置された感じで作ったけど、農地としての効果が薄まってないか、確認してもらっていいかな? 最悪土木組を動員して、土の改良をしなきゃいけないかもしれないけど……どうかな?」
「ちょっとお待ちください」
農業担当の人物があれた畑に足を踏み入れて、色んな所にスコップをいれたり、臭いを嗅いだり、薬品に土をいれたりして、フムフム言いながら独り言を言っていた。
「すぐに農地として使うのは難しいですが、一度大豆あたりを作って、肥料とか腐葉土あたりがあれば、特に問題ないと思いますので、土木組の力は必要ないかと。それに、あまり施しをするのは良くないです。
ここまで状態がいいのですから、多少の苦労はさせておくべきでしょう。シュウ様が考案した農具は、かなり便利ですからね。他にもゴーストタウンの専属としてこの農地に入るのであれば、農耕機を貸し出してくれるんですよね?」
「ん? そうなのか?」
「シュウ様には言ってませんでしたが、魔道具も発掘されたという事にして、以前シュウ様が作ってくれた、あれを使おうと思います」
「あ~あれね。ネタで作ったのはいいけど、使う場所がなかったからな。ディストピアの畑にはすでにワームたちがいて、精霊たちが指示して耕してくれてるからな。本当に使う場所が無くて、困ってたやつだよな。ちょっと新しすぎないか?」
「いえ、人の来ない使わない所に置いていたせいか、見た目の劣化が激しかったので、ちょうど良さそうになってます。それに、整備として綺麗にすれば、問題ないですからね」
そんなものかと思い、ダンジョンの偵察は終わった。後は全部ガリアに任せるので、俺のする事は終了だ。冒険者ギルドが先行して入り、周りを偵察してくれるようだ。頑張ってくれ!
準備ができてから一週間後に発見され、二週間後には一フロア目、農地とする場所に危険がないことが分かり、探索の最にダンジョンへの入り口が発見され、どんな魔物がいるのかの偵察が始まっている。
深くまでは潜れなかったようだが、一ヶ月後にはこの空間は、ゴーストタウンの食糧庫として使われていたと判断された。
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