677話 まとまらない対策
アクセスありがとうございます。
後日、勇者にあった事をバザールと綾乃に話した。そうすると、綾乃は興味をもったようで会ってみたいと騒ぎ出した……別に会う事は止めないけど、俺の事は絶対にしゃべるなと言ったところ、黙ってしまった。
おそらくしゃべるつもりが無くても、しゃべってしまうのだろう。その部分を理解しているだけまだよかった。
以前にも、まだ秘密にしていたことを、ペラペラ話してしまう事があったので、忠告しておいてよかった。
「綾乃は隠し事できるタイプじゃないから、うっかりでこっちの情報を漏らしてしまう事があるから、自重してくれ。
解析系のスキルを持っているみたいだけど、今回は無理に引き込む必要性も感じないし、あいつらにとってもゴーストタウンの居心地は、悪くないだろうからいつくんじゃね? あいつの能力が必要なら、仕事の依頼を出せばいいだけだしな」
最後に金ならいくらでも有る! と付け加えたら二人が苦笑していた。気になったので、バザールにあってみたいか聞いてみたが、『この格好では会えないでござる。討伐対象にされても困るでござるからな!』と笑っていた。
その後に『まぁ姿は見てみたいでござる』とか言ったので、マップ先生の機能を使って見せると、『イケメンに死を!』とか言い出して、その瞬間だけござる口調ではなくなっていた。確かにイケメンだけど、アンデッドが生きている人間の見た目に嫉妬するなよ。
その後は他愛のない話をして、お昼になったので解散する。俺と綾乃は食堂へ向かい、バザールは自分の農園に全力て飛んで行った。今まで気にも留めていなかったけど、あいつって空が飛べるんだよな。あまり高くはあがれないみたいだけど、結構なスピードで移動できるから、何となくうらやましいな。
そんなことを言えば、クロとギンがキメ顔で『俺の背中に乗れよ。俺の方が早いぜ』みたいなことを、いいそうだけどな。
平穏な日々が一週間程続いていたが、またバザールが俺のもとに来て、緊急事態だと報告を始めた。デジャビュ……
「シュウ殿! 今回は帝国の北側、王国の西側に位置する魔物の領域から、ドラゴンが樹海に向かっているでござる。理由は不明でござるが、Sランクの魔物、どうするでござるか?」
この世界は本当に退屈しねえな……トラブル多すぎんだろ!
「危険なんだよな? みんなを集めて意見を聞くか」
この大陸には、いくつもの魔物の領域が存在していて、危険度がそれぞれ違う。中でも一番危険だと言われている俺たちの住んでいる樹海は、Sランクの魔物はいないが魔物の強さのアベレージが、他の魔物の領域とは桁外れなので、そういう評価になっている。
それにSランクの魔物は、基本的に知性があり頭がいいのだ。無駄な争いをせず、テリトリーにさえ入らなければ、大人しいと言う理由があるため、Sランクの魔物がいても、危険度は低く設定されている奴が多い。
そのSランクの魔物が自分のテリトリーを出て、樹海にやってくるのだから、何かの意味があるのだろう。こういう時に一番役に立つのは、長生きしているリンドだろうか? 冒険者ギルドの受付嬢だったミリーだろうか? レイリーも何か知ってるかもしれないな。
他のみんなは、手が空いたら集まるように言ったが、この三人だけは優先してきてもらえるように手配した。
しばらくすると、リンドとミリーの二人がきてくれた。すぐ後にレイリーも到着した。
「急に呼びだしてすまん。ちょっと急で聞きたいことがあってな。俺達の中でこういった知識があるのは、三人だと思ってるから、みんなが集まる前に意見を聞いておきたかった。
Sランクの魔物のドラゴンが、北西側にある魔物の領域から出て、ここ、樹海に向かっているらしい。Sランクの魔物が自分のテリトリーから出てしまう時って、どういう時なのか情報があったら聞きたかった」
「ドラゴンですか……昔、巣分けがあると、自分のテリトリーから出る魔物がいた、と聞いた気がします」
初めに発言したのはレイリー。確かに言われてみれば、巣分けがあってもおかしくないか。その後にリンドの発言。
「私もその話は、聞いたことあるね。他には自分のテリトリーに、強者がきて追い出されるパターンかな?」
自分より相手が強ければ、死にたくないからテリトリーを出てしまうか。
「私は、Sランク冒険者の話を伝い聞いた時は、今あげた二つ以外にも、今のテリトリーより住みやすい場所を探す個体もいて、遭遇して死にかけたみたいな話を聞いた事があります」
「どっちにしても、移動しているのは気まぐれじゃなく、何かしらの目的があって移動しているのは、決定か……ここのトップとしては、やっぱり迎撃態勢をとるべきかな?」
「本来街だったら、Sランクの魔物が攻めてきた場合は、街を上げて倒すんですけど……シュウ様に関しては、迎撃できてしまう実力がありますからね」
俺のセリフを聞いたレイリーが、苦笑して発言している。
「そうですね。何とかできてしまう力があるからね。もしやるなら厳戒態勢をひきますか?」
「参考までに、街での迎撃ってどんな風にやるんだ?」
「どの街、フレデリクでもバリスタ等が置いてありますね。数を撃って傷をつけて追い返す感じですね」
そんなもんか。話を聞いてダンマスのスキルで、召喚できるものを見ていると、兵器の中にバリスタがあった。ビビったのは、壁に埋め込む式の龍槍という、一狩り行こうぜのゲームにあるような兵器もあったのだ。
これのある街って、何に対して備えているんだろうな? ロマンはあるけど、それこそ大型のドラゴンが体当たりしてきた時にしか、使えないような兵器だと思った。
「バリスタを準備して、皆に参加してもらう方がいいのかな?」
「ディストピアの人間だったら、喜んで参加すると思いますけど……そういう事を言いたいわけじゃないですよね? そのドラゴンのレベルは、分かっているんですか?」
「バザール、いくつだっけ?」
「えっと、四一三でござる」
「……聞いたはいいけど、これがどれくらい強いのかピンと来ないんだが、少なくとも同レベルの人間の数倍は強いんだよな? 他の街なら絶望的な強さかな?」
「そうですね、その位強い個体だと思います。ドラゴンであれば、その位は普通ではないかと……子供のイタズラで、こっちに来ているって事もあるかもしれませんね」
煮え切らないが、対応を考えないといけないので、襲来予定の時間帯は街の人間を全員、魔導列車のホームに移動するように通達して、家なんかが壊れたら全額保証という話で落ち着いた。
魔導列車のホームは、後でそれっぽく改装して、全員が余裕を持って入れるサイズにしている。
読んでくださり、ありがとうございます。
ブクマや評価をしていただけると幸いです。
これからもよろしくお願いします。




