651話 準備期間
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一五〇階に到着して、一晩があけた。
俺たちは、一五一階のボスの情報を集めたり、武具のメンテナンスを始めている。俺は武具のメンテナンスだ。他のメンバーは、カエデ、リンド、アリス、ライムの合わせて五人が、メンテナンスをたんとうしている。
他のメンバーが、憑依をして情報を集めてくれている。憑依をするためにある程度、強い魔物を準備している。と言っても、リビングアーマーだけどね。
こいつの良い所は、人間と同じように動かせるのに、痛覚がない所だろう。憑依していると、ダメージがダイレクトに感じられるので、かなりの苦痛を伴うのだ。
それが、無機物の魔物や痛覚のない魔物に憑依した場合は、痛みがカットされるので、痛みに関する負担が少なくて助かるのだ。
そのリビングアーマーを使って、情報収集をしてくれるようだ。さすがにミスリル製の鎧までは準備していないが、アダマンコーティングをしているので、それなりの防御力を有しているから、頑張ってデータを収集してほしい所だ。
「さて、武具のメンテナンスをしようか。俺はクリエイトゴーレムを使った、装備をメンテナンスをするわ。カエデとリンドは、武器中心のメンテナンスを、アリスとライムは防具を中心にメンテナンスしてくれ。開始しよう」
俺は預けられた武具、基本的に金属を用いた防具と、鈍器や斧系の武器のメンテナンスだ。カエデたちに比べて、俺のメンテナンスには、時間はそこまでかからない。魔力を大量に使うのが、俺のクリエイトゴーレムによるメンテナンスだ。
鈍器系の装備は、かなりヘタっていた。特に言うなら、俺のメイスは大分ガタがきていた。丈夫なミスリルとオリハルコンの合金で作って、何重にもアダマンコーティングをしているのに、少し歪んでいたのだ。
クリエイトゴーレムで作っているおかげか、アダマンコーティングと一緒に中の合金にも、効果を簡単に届かせることができたが、魔力を大量に使ってしまった。気持ち悪い。
リンドの両手槌もスキルの威力の所為か、柄の部分が歪んでいた。この時点でシュウは気付いていなかったが、スキルの威力の所為ではなく、ステータスの所為で柄が歪んでしまっていたのだ。
ステータスの筋力に、さらにスキルの補正で威力を上げてるから、こういう事が起こるようだ。
普通に考えて、上位の冒険者や騎士たちにも鈍器使いがいて、同じようなスキルを使える奴等だっているが、俺たちみたいな高級な装備を使っているのは、一部の者だけなのだ。武器がそんなにすぐ壊れてしまうなら、鈍器を使う人間がいなくなってしまうだろう。
俺はもっと頑丈な物ができないか考えてみるが、今は時間がないという事に思い至り考えを破棄する。
後衛陣以外は、シーフもタンクもヒーラーでも、同じ形のガントレットとグリーブをつけているので、単純作業になりちょっと思考がそれてしまった。金属製だけど、カチャカチャ音がしないように、魔物の素材を使って音消しをしている。
命を預ける装備だから、きちんと整備しないとな。金属鎧などの武器のメンテナンスも全部行うと、三日ほど経っていた。手順の違うカエデとリンドの武器のメンテナンスは、半分過ぎた所だろう。
アリスとライムの、金属鎧以外のインナーや装備を修理していた。魔物の攻撃で破れたり、使い物にならなくなってしまったものもあるので、新しく準備したりしている。こっちも新しく仕立てるために、時間がかかっているようだ。
一五一階のボスの情報を、集めているメンバーの所に行って話を聞くと、途中経過を聞くことができた。
どうやら、扉には鍵が改めてかかる事は無いとの事だ。入り口の金属の柵は、誰かが四分の一程進むと、中に入ったモノが死なない限り、再度開くことはないらしい。
他にもこっちの人数が増えると、キマイラ以外に取り巻きのような魔物が出てくるらしい。映像を見せてもらっているが、マンティコアの様な、見た目の魔物な気がする。
キマイラより一回りほど小さいが、キマイラがデカいから、俺から見れば誤差の範囲だろう。顔は人に近い顔をしている。言うなら、オーガの顔に近いかな? 体は同じネコ科でもライオンというよりは、毛が生えているためトラに近い感じがする。
全身は赤茶のような色をしている。尻尾はサソリの尻尾みたいに、一本の針が先端についている。背中にはコウモリの羽のようなものがついていて、飛んで攻撃を仕掛けてくる厄介な魔物だった。
「思ったよりヤバそうな魔物だな。強さ的にはファイアナイトやダークナイトくらいじゃないかな? Sランクが最大で四匹か? ナイトみたいに馬鹿げた耐久力や、硬さがあるわけじゃないから倒しやすいか?」
「一匹ずつは柔らかいと思いますが、キマイラが命令を出しているのか、複数で出てくる時は、連携が上手く危険度が高くなると思います。
スキルに関しては検証出来ていませんが、ダークナイトと一緒で、ヘイト管理ができない可能性があるので、強引に分断して各個撃破がいいのでは? と思っています」
確かに、ダークナイトがとった行動を考えれば、他の魔物が同じ行動をとらないとは限らないよな。そういえばSランク以上の魔物は、予測不能の行動をしてくることがあるよな。Sランクって区切るのは危ない。
「その方向で進めようか。確か戦闘が始まったら柵が閉まるんだよな? って事は一回試してみたいことがあるから、明日行く時は声かけてくれ。明日使う武器を作らんとな」
俺がしたい事は柵が壊せるのか、壁が壊せるのか検証したいのだ。一応ダンジョンの壁は破壊可能なんだけど、神のダンジョンって事を考えると、壊せない可能性がある事を考えないといけない。武器は今作れる最高の切れ味の物を準備する。
アダマンタイト製の刀を模した物を準備して、鞘も準備した。刀を持った時に人切り抜刀斎の真似事で、抜刀術みたいな事をして遊んでいた時に、偶然スキルの【抜刀術】を覚えたので、試しにここで使ってみる予定だ。
切れ味を上げるために、魔核を埋め込んでいる。刃が超振動する、高周波ブレードを作った。
怖い物見たさでDPに還元してみると……五〇〇〇万DPを超えた数字が表記された。武器の強さを考えれば納得できるけど、さすがにこの武器が流出するのは避けたいので、還元は絶対にしない。
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