636話 武器防具の整備
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王国の神のダンジョンへ、出発する準備が進んでいる。今回はシルキーやブラウニーたちを連れていくので、家精霊のユニークスキルの【メイドの嗜み】に、形を作った状態でプレハブを収納できるので、いちいち作る必要が無くなったのは大きい。
調理済みの料理は、別のブラウニーやシルキーたちが持ち、まだ調理していない食材等は分散して持ち、キッチンと倉庫にあたるプレハブの中にも大量に入れている。
時間による劣化がないので、かなりの食材を持ち込むようだ。DPで召喚した日本の食材と比べても、遜色のないモノができているのだ。持っていこうと思うのは、当たり前だろうか。
俺も準備をするか? と言っても手伝おうとして、邪魔だと言われたことがあるので、今回は全部任せよう。武器や防具の手入れは、自分でしなければならないので、整備をするか。
まずは武器かな。大薙刀は、自分で整備できないじゃないか! カエデに渡しておこう。
次は片手剣と盾か。この武器はクリエイトゴーレムで作った片手剣と盾なので、俺でも整備することができる。一番固い素材と言われている、アダマンタイトでもコーティングだけだと、さすがにぼろくなるんだろうな。魔核で自動修復をできるとはいえ、魔力が大量に必要だから直しきれないか?
片手剣のコーティングを厚くするか。五回ほどアダマンコーティングを施す。魔核にはレッドドラゴンから採れた、Sランク魔石に交換して自動修復の強化と、さらにAランクの魔核を追加して、出力の高い電撃が流れる片手剣に仕上げた。
盾はカイトシールドで先が尖っており、よくここで打撃を行うため若干変形していた。剣より多く七回程コーティングを施している。盾の内側にもSランクの魔核を埋め込み、修復機能を上げている。盾で攻撃を受ける時に、衝撃が盾の表面から噴き出るように、Sランクの魔核と使って調整してみた。
この作業に三十分かかり、大分魔力を消費してしまったので、マナポーションを飲んでおく。
大薙刀、片手剣の次によく使っているのが、メイス、片手鈍器だ。打撃を主にする武器であるためか、所々に小さなへこみが確認できた。
まずは形を整えてから、盾と同じように七回程のアダマンコーティングを施す。修復用の魔核は、メイスの膨らんでいるとこに埋め込んである。やはり鈍器に求められるのは打撃が中心なので、盾と同様の衝撃を生み出す魔核を作って、柄尻につけている。
全面に衝撃を発するようにしてしまうと、戦闘に支障が出るので、打撃の当たった部位からのみ、衝撃が出るようにしている。思ったよりその調整には時間がかかり、Aランクでも品質のいい魔石でないと、書き込めないという事が分かり驚いている。
「衝撃を面面に出すだけなら結構余裕があったのに、指定された場所にだけ衝撃を発するようにするのは、思ったより魔核の容量をくうんだな」
本来であれば、盾の時に気付くべきだったのだが、本来魔法で衝撃を生み出す魔法は無く、武器に対する土属性の付与で、衝撃を増幅する事は出来るのだ。魔法で再現できない現象の衝撃を生み出す書き込みは、魔核にかかる負担が大きく、Aランク以上の魔核を使わないと難しかったのだ。
他にも魔核の特性上、付与魔法の系統を書き込むと、かなりの容量を食ってしまうのだ。ピースなどの銃器に使われている魔核での付与は、銃器系のダメージが減算される世界の法則のためか、何故か付与にかかる魔核の負担が少ないため、ランクの低い魔石でも付与魔法が書き込めるという謎仕様だ。
メイスも順調に整備が終わり、他にも持っているレイピアと短槍を整備していく。これらはほとんど使っていなかったので、基本的にはコーティングの回数を増やすだけにとどまった。自動修復の魔核も交換していない。
次に防具の整備だな。もう一本マナポーションを飲んで魔力を回復しておく。
俺が今装備しているのは、一番初めに倒したレッドドラゴンの鱗を削って作った、スケイルメイルやガントレット、グリーブ等々。本来は金属で作るため、重量が重くなりやすいが、軽い素材なのに頑丈なので、十分な防御力と火耐性を確保できるのだ。
その防具も戦闘で大分痛んでいた。割れている鱗もあったので、付け替えて鱗の一枚一枚にアダマンコーティングを施す。数が多かったので、また大分魔力を使ってしまった。少し重くなったが、問題ない範囲に収まった。
自分の装備を全部整備し終わるまでに、大体三時間ほどかかった。鍛冶的な作業では、さすがにこんな早く整備は出来なかっただろう。そう考えると、鍛冶師たちって本当に凄いな。
欠けた物を戻すことはできないけど、新品同様の切れ味に仕上げ治すんだからな。そういえば、前に自分で作った刀って、どうしたんだっけ? ドワーフのじっちゃんの所に、置きっぱなしだったことを思い出す。
「じっちゃ~~ん、生きてるか!」
「生きとるわい! 何しに来たんじゃ?」
「刀を置きっぱなしだったから取りに来た!」
「そういえば、倉庫の特等席に飾ってあるぞい」
「今まで管理ありがと! これをお礼に持ってきた!」
収納の腕輪から樽に入った、日本酒を取り出した。もちろん、ブラウニーたちが丹精込めて作った日本酒なので、味はお墨付きである。
「なんじゃ、あの高級な酒じゃないのか? 楽しみにしてたのにのぅ」
「あれも飲みたいのか。じゃぁ五本くらい出しておこうか」
DPをササっと操作して召喚する。
「おぉ~これじゃこれじゃ! この量ならみんなと一緒にのめるぞい。感謝する」
「ちなみにこっちの樽は、シルキー監修のブラウニーが丹精込めて作った、最高級の日本酒だぞ」
「なんじゃと! 最高級じゃと! いくら頼んでも、一口も飲ませてもらえなかった、ブラウニーの酒か! これは爺共を集めて飲まんとな!」
「あんたも十分爺だろ」
「違いない!」
刀を受け取って、老ドワーフの工房を後にする。街中で刀を見るのは、怪しい人になってしまうので、自分の家に戻ってカエデの工房に向かう。工房の中にはカエデがいて、机や壁に二十本近い武器が並べられていた。もちろん俺の大薙刀も置いてあるな。
「カエデ、ちょっと工房借りるぞ」
「いいわよ。でも、今こっちは仕上げをしてるから近付かないでね」
真剣な表情で火と向き合っているカエデは、カッコいいな。なんて思いながら、もう一個の炉の近くに腰を下ろす。
「思ったより頑丈にできてる感じだな。ミスリルとオリハルコンの合金って、予想以上に有用なのかな? 作って仕上げした時にも思ったけど、普通の刀……鋼で作った時みたいに、波紋が出るんだな」
使ってもいないのに修復する必要も無く、今の俺にはいじれるところがないと思い、せっかく座ったが席を立って場所を移動する。少し研ぎが甘く感じたので、しっかりと仕上げてからDPを操作する。アダマンタイトを取り出して、三重のコーティングを施した。
「こんなもんかな。使う事はあるか分からないけど、十分実用に耐えれる品質だろう」
アダマンコーティングを施してあるので、普通の鉄剣でも実用に耐えれる物になるとは、みじんも思っていないシュウであった。
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