600話 ラディッツの街
アクセスありがとうございます。
とうとう600話まで来ました。
着地地点に向けてのんびりと進んでいこうと思っていますが、多分盛大に脱線してしまうと思います。
ゆるく読み進めてください。
俺らが後衛部隊を倒し終わって、敵前衛と冒険者たちが戦っている方をながめる。
膠着した戦況が続いているようだ。多少怪我をしている人はいるようだが、ポーションやヒーラーが治していて、大事にはなっていないようだ。
敵の方がやはり数が多いので、上手く攻め切れていない感じがするな。火傷するように援護はしたけど、思った以上に効果は出なかったか?
オンラインゲームの集団戦って言うと、ゲームによっても違うけど、硬くてフルバフしたキャラが敵陣に突っ込んで、かき乱したりするか、遠距離攻撃の高火力で吹き飛ばすか、単体だけど必殺で一撃離脱、チェインみたいなスキルで強引に味方陣営に引っ張ってボコる、くらいだもんな。
冒険者は基本チェインを使うような戦い方をしてないから、覚えてないんだろうな。
そう考えると対人戦を視野に入れている騎士が、チェインを覚えていないのは不思議だな。そもそもチェインっていうスキルって、メジャーじゃないのかな?
戦争ゲームの不毛な戦いの部分を、見ている気がするな。こちら側が有利な点と言えば、遠距離攻撃があるという事だろう。それでも前衛の数が違うので、カバーするために攻勢に出れていない感じだな。レイリーはどういう対応をするんだろうな。
様子を見ていたと思ったら、レイリーが指示をした。俺たちは双眼鏡を使って、戦闘の様子をみんなで評価しあっている感じだ。
倒した敵たちは、ニコたちスライムが、上に乗ってポンポンはねたりしている。痛くないだろうから問題ないけど、起きたらどうするんだ? 近くにダマもクロもギンもいるから、問題ないかな。
おっと! レイリーが指示を出したのは、兵士っぽいな。ニ人の兵士は両サイドから、相手の両サイドをけん制している……かと思ったら、一気に突っ込み手傷を負わせてから離脱していた。
これは一撃離脱戦法か? 戦闘力が高く素早い動きをする兵士が、敵を削る戦法だろうか。
十度程同じような攻防が続くが、対人戦闘の訓練をレイリーの下でしている兵士で、ラディッツの兵士よりレベルもスキルも高いのだから、止められるわけもなかった。
対策をたてる暇もなく、手傷を負わされた敵兵士が量産されていく。すでに火傷以外にも、手傷を負っていない敵兵士はいなくなっている。敵の前線には、ヒーラーやポーションが足りていないのだろう。
それに本来街を攻めるには、人員不足な気がするが、七つの街から同じくらいの兵士が出てくるのであれば、人数的には問題なかったのだろう。もっと数がいれば、違う結果になったかもしれないな。
手傷を負った兵士たちが、傷も治せずに前線を維持できるわけもなく、数的に勝っていたラディッツの兵士たちは、指揮官の降伏によって戦闘が終わった。
全員を捕らえ終わり、幹部クラスの人間だけを別に隔離して、治療を施して尋問を始めた。
その中で得られた情報は、この部隊の総指揮をとっていた指揮官以外の幹部は、メギドに攻め入ってはいけないという、勅命が出ていたのを知らなかったようだ。
ダギアが正体不明の組織に襲われた、と思っていた兵士たちだが、指揮官の奴は俺たちが、皇帝から向けられた懲罰部隊のようなものだと、正確に理解していた。
俺たちの事をきちんと理解しているのは、やはり上層部だけだったようだ。下の兵士たちには、メギドは不法に占拠されて、よくわからない技術を使って色々な実験をされている、と吹聴して兵士たちの士気を高めていたそうだ。聖戦だ! 的なノリだろうか?
することは決まった。ダギアと同じように、上層部だけ全部縛り上げて、挿げ替える事にしよう。有能な文官は、奴隷に落としてこき使う形でも問題ないだろう。
きちんと指示を出す人間が、しっかりしていれば問題ないから、ダギアでも実際にそういう風にしているらしいし。そこらへんはグリエルとガリア、ゼニスに頑張ってもらおう。
それにしても、自分の指示で奴隷になるやつが増えるのに、思った以上に嫌悪感がなくなってきてるな。初めの頃は奴隷というだけで、ちょっと嫌な感じがしてたけど……みんなを買ったあたりからかな?
初めから奴隷としてみてなかったけど、犯罪奴隷は自業自得だし、借金奴隷も自業自得だ。違法奴隷みたいなのもいるだろうけど、それは犯罪者が悪いんだし、奴隷が一種の職業みたいなニュアンスとして、俺が理解したのかな? 簡単に言えば労働力だしな。
言われたことを忠実にこなしてくれる、貴重な労働力が奴隷と考えれば、嫌悪感もなくなってしまうのだろうか? そう思って俺自身が潰れないように、しているのかな? 薄汚い汚職まみれの文官よりは、奴隷の方がよほど使える。
「レイリー、方針はダギアと同じ感じでいくのか?」
「そうですね。今回は、捕らえた兵士たちも利用しようかと思います。この部隊で一番といいますか、犯罪者として裁くのは、指揮官であるバカだけでいいと思います。
録画しておいた動画を見せて、事実を伝えてこちら側に引き込もうと思います。それで同僚の兵士たちを説得してもらい、上層部を捕らえましょう」
あいつらを利用するつもりなんだな。確かにダギアでした住人を使ったあれよりは、精神的な負担が減るからいいな……俺のだけどな!
ダギアと同じように、ラディッツの街の門の前で今回の説明をして、兵士たちに説得してもらうために先行してもらった。兵士たちには、もしあっちに付くなら、今度は殺すと伝えているが、そんな事伝えなくても裏切る事は無かっただろう。
ラディッツは、ダギアより簡単に街の制圧が完了した。というか、上層部を捕らえるのは、兵士たちが率先してやってくれたため、俺たちはほとんど何もすることなく街の制圧が完了した。
制圧してから四日後に、ゼニスが人員を連れてラディッツに到着した。
「それにしても、なんでツィード君がここにいるんだ?」
「俺だってたまには、いろんなところ行きたいよ! それに、今回はしっかり役目があるから問題ないもんね! 闇魔法の応用で、奴隷の首輪改Ⅱを作ったから、その試しでついてきてるからね!」
「シュウ様、今回は我がままを言われたのもありますが、本当に奴隷の首輪を改造してもらったので、効果を試すために来てもらっています。
ちなみに新しい奴隷の首輪は、解除ができなくなるだけではなく、命令違反の度が過ぎると締まるのではなく、意思を奪う機能をつけもらっています。文官たちの能力を下げずに、違反した場合の罰則を変更した感じですね」
ツィード君、久々に仕事してる感じだな。頑張れ!
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