595話 不穏な空気
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あまり描写したくない状況のダギア上層部の惨状は、死人は回避できたので放置! ただ人様に見せられるものではないので、自分たちで準備した毒薬を飲まされ、領主館の隠れ部屋に軟禁状態だ。
粘液型スライムがキレイにしてくれているので、臭いや病気に関しては特に何の問題も無いが、生理的に生身で近寄りたくないので、拘束をした状態で点滴をしているが、点滴薬の交換はドッペルにやってもらっている。
ドッペルよ、すまぬ。俺たちの代わりによろしく頼む!
ダギアを掌握するために、後発で来たゼニスが合流した。商会の人間だけではなく、グリエルから依頼された文官達やその護衛として、ディストピアの冒険者がついてきていた。参加する冒険者は、レイリーから戦争に参加許可の出た人だけだと思ってた。
今の所ディストピアには、強くなった自分を大きく見せるために、威嚇するような問題児もいないし、マナーはシルキー監修のブラウニーに叩き込まれているので、特に問題ないのだろう。
その他にも、衣食住職が整っているので、逸脱した行動をとる人間がほとんどいない。稀にいるが、ブラウニー達に見つかり大人しくなるそうだ、お前ら何してんだ?
後発で来たのは商人や文官、冒険者だけでなく、兵士を指導する武官、歳はある程度いっているが、屈強な老兵士といった見た目の人材が派遣されてきている。俺の支配する街に、ふさわしい兵士にするとの事だが、それより俺の街にふさわしい兵士ってなんぞ?
色々突っ込みたいところはあったが、突っ込んだら藪蛇になりそうなので、放置することに決めた。グリエルやガリア、ゼニスが話を進めているのだ。しばらくは何の問題も無いのだろう、不安は残るが俺には何もできないので、そのままにしておく。
さて、ダギアから離れても問題ない状態になったので、ラディッツに向かう事になった。
「ゼニス、俺らは行くけど後、任していいか?」
「問題ありません! こちらが終わり次第追いかけます。次のラディッツにはすぐにとはいかないので、一週間くらいは時間が欲しい所ですので、それまでは本格的に攻めるのは、お願いします」
「そっか、一週間くらいか。のんびり攻めるか? メギドに攻め入られなければ、問題ないし遠巻きに見て時間を使おうか。
そのうち帝国の近衛兵が来るはずだから、今回の主犯格のダギア上層部は、全員引き渡しちゃっていいよ。俺は攻められた分の仕返しはしたし、後は帝国がやってくれるからな」
「了解いたしました」
「何かあったら連絡してくれ。行ってくるわ」
そう言ってから俺たち、反乱鎮圧部隊はラディッツに向かっていく。うん、反乱鎮圧部隊って響きが一番しっくりくるな。っても使う機会はほとんど無いだろうけどな。
「いき込んで出てきたのはいいけど、あまり早くついてもしょうがない。早く着くと面倒なのは否めないから、近くまで行ったら遠巻きに、メギドへ進軍に使われそうな街道に陣取ろうか?」
「それがいいですね。早すぎても攻め落とした後の手間を考えると、いましばらくは自分たちで、街の統治をしておいてほしいですね。という事なので、中隊長たちと大体の位置に目星をつけて、先頭の馬車に場所を伝えます」
レイリーは、俺の乗っている馬車から飛び降りて、時速五十キロメートルくらいで走っている馬車を追い抜いて、中隊長たちが乗っている馬車へ走っていく。俺も出来ない事無いけど、今やる必要あるか? 警戒に当たっているウォーホースを使えばいいのに。
しばらくすると少し進行方向が変わった。俺たちは今、普段使われている道ではなく、馬車の性能を前面に押し出して人の通らない場所を移動している。
道がないのに進行方向が変わったのが分かるのは、今までほとんど見えなかった前の馬車が、視界に入ってくるので、曲がっているのが分かるからだ。
特に変わった事も無くニ日が過ぎて、メギドとラディッツをつなぐ道の丁度中間あたりが見える位置で、野営をしている。これから五日間はラディッツに動きがなければ、ただ待機するだけになる。マップ先生の報告では今の所動きは無いようだ。
と言っても、五日もあれば動きはあるよね……
軍事行動といったほど大きな動きではなく、ここで待機を始めて三日目の朝に、俺たちの事を発見した斥候が報告して、どんな集団なのかを確認しに来るための部隊だろう。
ニ、三日中に進軍する予定で、道中に何もないかの確認のために放った斥候が、俺たちを発見したため、先行偵察部隊として、およそ一〇〇人位の部隊がラディッツの街を出発して、そこから遅れる事一日、本隊と思われる部隊が出発している。
そして五日目の今日、先行偵察部隊を視認した。
「敵部隊、報告通り視認しました。接敵予定時間は一時間後。戦闘準備開始!」
櫓の上から魔導双眼鏡を使って、偵察している冒険者から報告が入る。その指示に従ってみんなが戦闘準備を開始する。
十分足らずで全員が準備を終え、野営地の外に並んでいた。レイリーから指示がとび、戦闘前の食事として、軽食のサンドイッチがシルキーたちより手渡される。
「さて、偵察部隊は一〇〇人程度だけど、大丈夫か?」
「そうですね、多少けが人が出ると思いますが、まずこちらの方が人数も多いですし、レベルも上なので問題は無いと思います。マップ先生で調べた時にいた、騎士団長だと思われるレベルニ五三の人物は、本隊にいるはずなので、こちらが負ける要素は無いかと」
予想通り一時間程経つと、敵部隊が現れ俺たちと対峙する位置に陣取った。
「ここは我らラディッツの街が支配する領域である。所属不明の集団に告げる。どういう集団なのかを明らかにして、すぐにここから立ち去れ」
レイリーが前に出て、
「我らは、皇帝からお願いされてこの地に赴いた、反乱鎮圧部隊である。メギド周辺の街が、皇帝の勅命を無視して反乱を起こそうとしているため、我々鎮圧部隊が派遣された。
ラディッツの兵士という事は、処罰対象である。大人しく縄に付くなら、罪が軽くなるかもしれないぞ」
レイリーの言にラディッツの兵士達が混乱している。上官に怒られていても勅命無視、皇帝に反乱をしていると思われていることに顔が青くなっていた。
上官らしき人間が近くにいた、兵士とは違う格好をしている。別動部隊っぽいメンバーたちに向かって、何やら指示を出している。
その時、俺の心によくわからない不安がよぎる。
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